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薬学用語解説

ビタミンB12
vitamin B12

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

水溶性ビタミンの一つで、抗悪性貧血因子として肝臓から単離された。分子の中心にコバルトを含むコリン環化合物の総称である。狭義ではシアノ基がコバルトに配位したシアノコバラミンを指す。他に、コバルトに水酸基が結合したヒドロキソコバラミン、メチル基が結合したメチルコバラミン、5'-デオキシアデノシンが結合したアデノシルコバラミンなどもビタミンB12活性を示す。水、エタノールに可溶、クロロホルム、エーテル、アセトンには不溶で、熱には安定である。メチルマロニルCoA ムターゼや5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼなどの補酵素として、核酸やアミノ酸代謝に関与し、血液細胞の産生や神経系の維持に重要な役割を果たす。食品中のビタミンB12は、胃から分泌される糖タンパク質(内因子)と結合して回腸から吸収される。血中では主にメチルコバラミンとして糖タンパク質であるトランスコバラミンと結合して運搬され、組織中ではアデノシルコバラミンに変換されて主に肝臓に貯蔵される。胃切除や完全な菜食主義などによりビタミンB12が欠乏すると、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)、成長遅延、末梢神経障害などが起る。肝臓、魚介類、卵黄、肉類、牛乳などの動物性食品中にタンパク質と結合して存在する。腸内細菌によって産生されるので、欠乏症は起りにくい。