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薬学用語解説

ビタミンB1
vitamin B1

作成日: 2025年06月18日
更新日: 2025年06月18日
環境・衛生部会
© 公益社団法人日本薬学会

水溶性ビタミンの一つで、抗脚気症因子として発見された。ピリミジン核とチアゾール核をもつ化合物。チアミンは酸には安定だが、アルカリ性では分解されやすい。天然には主にリン酸エステルとして存在し、体内では活性型のチアミン二リン酸(チアミンピロリン酸:TPP)として糖質代謝に関与する。すなわち、TPPはα-ケト酸の酸化的脱炭酸反応を行うデヒドロゲナーゼやケト基の転移を行うトランスケトラーゼの補酵素として作用する。ビタミンB1のリン酸エステルは、主に空腸でホスファターゼによりビタミンB1となって吸収される。体内では再びリン酸化され、肝臓や筋肉に貯えられるが、体内蓄積量は少ない。ビタミンB1の欠乏により、疲労倦怠感、多発性神経炎、浮腫、心不全など末梢神経や心臓にさまざまな症状を呈する脚気を引き起す。また、低栄養のアルコール依存症患者にみられるビタミンB1欠乏症としてウェルニッケ脳症があり、中枢神経が侵されるため、眼球運動麻痺、運動失調、意識障害などを生じる。ビタミンB1は動植物性食品に広く含まれ、特に豚肉、胚芽、酵母、肝臓、豆類、卵黄に多い。