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2020年度受賞者(学会賞)

薬学会賞受賞者

(応募9件、授賞4件)

大戸 茂弘(九州大学大学院薬学研究院 教授)
「分子・細胞・臓器リズムを基軸にした時間創薬育薬研究」
西田 篤司(千葉大学大学院薬学研究院 教授)
「新規反応開発を基盤とする多環性天然物合成」
橋本 祐一(東京大学定量生命科学研究所 教授)
「独自の創薬手法・戦略に基づく生物応答調節剤の創製研究」
二木 史朗(京都大学化学研究所 教授)
「生体膜を標的とする機能性ペプチド:分子設計と作用機序」

学術貢献賞受賞者

(応募3件、授賞2件)

第1B部門
松田 久司(京都薬科大学 教授)
「伝承薬物に含まれる生体機能性分子の薬理学的解明研究」
第4A部門
出口 芳春(帝京大学薬学部 教授)
「In vitro血液脳関門モデルおよびマイクロダイアリシス法を用いた薬物の血液脳関門輸送機構解析」

学術振興賞受賞者

(応募4件、授賞1件)

第4A部門
秋田 英万(千葉大学大学院薬学研究院 教授)
「細胞内環境応答性を示す脂質様材料の開発とマルチ創剤基盤技術としての展開」

奨励賞受賞者

(応募14件、授賞8件)

淡川 孝義(東京大学大学院薬学系研究科 准教授)
 「微生物からの医薬品骨格生合成酵素の発掘と利用」
市村 敦彦(京都大学大学院薬学研究科 助教)
 「膜タンパク質の生理機能解明に基づく新規薬物標的候補分子の同定」
猪熊  翼(徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域) 助教)
 「創薬テンプレート構築を指向した異常アミノ酸およびそれを含有するペプチドの合成法開発」
上田 善弘(京都大学化学研究所 助教)
 「位置選択的分子変換法の開発:水酸基のアシル化とC-Hアミノ化」
内田 康雄(東北大学大学院薬学研究科 講師)
 「定量プロテオミクスに基づく血液脳関門の輸送機能および病態変動機構の解明」
小出 裕之(静岡県立大学薬学部 講師)
 「機能性ナノ粒子を用いた難治性疾患治療法の開発」
田口 和明(慶應義塾大学薬学部 専任講師)
 「血液輸送タンパク質のDDS担体としての機能を基盤とする難治性疾患や癌治療の創剤的戦略」
矢崎  亮(九州大学大学院薬学研究院 助教)
 「化学選択性の精密制御のための触媒反応開発」

創薬科学賞受賞者

(応募2件、授賞2件)

「VEGFおよびFGF受容体キナーゼ阻害に基づく抗腫瘍剤レンバチニブの創製」
船橋 泰博(エーザイ株式会社 オンコロジービジネスグループ デピュティチーフサイエンティフィックオフィサー)
鶴岡 明彦(エーザイ株式会社 理事/オンコロジービジネスグループ メディスンクリエーション 日本・アジア臨床開発部 部長)
松井 順二(エーザイ株式会社 オンコロジービジネスグループ デピュティチーフディスカバリーオフィサー/メディスンクリエーション トランスレーショナルサイエンス部 部長)
松嶋 知広(エーザイ株式会社 オンコロジービジネスグループ ストラテジー部 部長)
宮崎 和城(大原薬品工業株式会社 研究開発本部 創薬企画部 部長)

受賞理由
VEGFおよびFGF受容体キナーゼ阻害剤である抗腫瘍剤レンバチニブは、エーザイ株式会社の創薬研究チームによって創製されたユニークな新規血管新生阻害剤である。独自に構築したヒト病態を模倣した評価系を用いて得られたリード化合物を基に巧みな構造展開を行い、世界初のタイプV結合様式を持つキナーゼ阻害剤・レンバチニブを創製した。腫瘍増殖と血管新生に関連する複数のキナーゼを選択的に阻害する薬剤特性を巧みに利用し、臨床試験において多くの癌種に対する有効性を確認し、現時点で甲状腺がん、腎細胞がん、肝細胞癌への適用を取得している。現在6がん腫において免疫チェックポイント阻害剤との併用による後期臨床試験が進行中である。またFDAよりブレークスルー・セラピーの指定を受けている革新的な医薬品であり、今後グローバルでの成長が大いに期待される。以上の事よりレンバチニブの研究開発は、日本薬学会創薬科学賞の受賞に値するものと判断した。

「末梢性μオピオイド受容体拮抗薬ナルデメジンの創薬研究」
金政 利幸(塩野義製薬株式会社 経営戦略部経営企画部)
稲垣 雅尚(塩野義製薬株式会社 創薬化学研究所中分子創薬部門 主幹研究員)
鈴木  勉(星薬科大学薬学部)
横田 隆明(塩野義製薬株式会社 医薬開発本部プロジェクトマネジメント部)
長谷川 稔(塩野義製薬株式会社 医薬研究本部 創薬疾患研究所長)

受賞理由
ナルデメジンは末梢選択的なμオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA)であり、オピオイドの主作用である中枢性の鎮痛作用には影響を及ぼさず、副作用である末梢のオピオイド誘発便秘(OIC)に対しては、オピオイドの受容体結合と拮抗することでOICを改善する新しい作用機序の治療薬として開発された。本創薬研究ではコンセプトの妥当性とそのプロファイルを満たす化合物の取得が成功の鍵であったが、豊富な創薬経験と巧みな探索手法により達成することができた。本薬は2017年に国内で初承認され、ガン性疼痛等におけるオピオイド使用において患者のQOL改善に大きく貢献している。また、現在では米国および欧州(イギリス、オランダ、ドイツ)においても承認を取得しており、日本発の画期的グローバル製品に成長することが期待される。以上の研究成果により創薬科学賞に値すると判断する。

功労賞受賞者

平井 功一(薬学研究奨励財団 理事)

佐藤記念国内賞受賞者

(応募1件、授賞1件)

辻󠄀  泰弘(日本大学薬学部 教授)
「診療データとDrug modelを基盤とした臨床薬物動態解析」