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平成28年度学会賞受賞者・受賞記念総説

薬学会賞受賞者

(応募8件、授賞4件)

新井 洋由(東京大学大学院薬学系研究科 教授)
 「生体膜脂質の代謝・機能に関する薬学的研究」
 YAKUGAKU ZASSHI vol. 142 No. 8 pp. 775-795
奥  直人(静岡県立大学薬学部 教授)
「リポソームDDS技術革新と疾患治療への応用」
 Biol. Pharm. Bull. vol. 40 No. 2 pp. 119-127
藤井 信孝(京都大学大学院薬学研究科 特定教授)
 「ペプチド・蛋白質科学、複素環化学を基盤とする創薬研究」
向  智里(金沢大学 理事 副学長)
「sp混成炭素を基軸とする新規環構築法の開発と生理活性物質の合成」
 Chem. Pharm. Bull. vol. 65 No. 6 pp. 511-523

学術貢献賞受賞者

(応募4件、授賞3件)

第1A部門
宮田 興子(神戸薬科大学 教授)
 「ヘテロ原子の特性を活用した新規合成反応の開発」

第2部門
豊岡 利正(静岡県立大学薬学部 教授)
「生体機能性分子の高性能分析法の開発と薬学的応用研究」
 Biol. Pharm. Bull. vol. 39 No. 9 pp. 1397-1411

第3部門
今中 常雄(富山大学大学院医学薬学研究部 教授)
「ペルオキシソームの形成機構と機能ならびに遺伝病に関する研究:ABCトランスポーターを中心に」
 Biol. Pharm. Bull. vol. 42 No. 5 pp. 649-665

学術振興賞受賞者

(応募9件、授賞4件)

第1A部門
山田 陽一(国立研究開発法人理化学研究所環境資源科学研究センター 副チームリーダー)
「医薬品合成を志向した高活性・高再利用性バッチ・フロー型固定化触媒システムの開発」
 Chem. Pharm. Bull. vol. 65 No. 9 pp. 805-821

第1B部門
中川 秀彦(名古屋市立大学大学院薬学研究科 教授)
「ガス状細胞情報伝達分子および類縁体のケージド化合物群の開発と生物応用」
 Chem. Pharm. Bull. vol. 64 No. 9 pp. 1249-1255

第4A部門
平塚 真弘(東北大学大学院薬学研究科 准教授)
「個別化薬物療法を目指したファーマコゲノミクス解析に関する研究」
 Biol. Pharm. Bull. vol. 39 No. 11 pp. 1748-1759

第4B部門
東田 千尋(富山大学和漢医薬学総合研究所 准教授)
「神経変性疾患の新しい治療戦略に関する研究」
 Biol. Pharm. Bull. vol. 39 No. 10 pp. 1569-1575

奨励賞受賞者

(応募29件、授賞8件)

浅井 禎吾(東北大学大学院薬学研究科 助教)
 「エピジェネティック制御を利用した糸状菌未利用遺伝子の活用と多様な天然物の創出」
異島 優(熊本大学薬学部 助教)
「血清アルブミンによる一酸化窒素トラフィックシステムの解明と難治性癌治療への展開」
 Biol. Pharm. Bull. vol. 40 No. 2 pp. 128-134
大戸 梅治(東京大学大学院薬学系研究科 講師)
「自然免疫系Toll様受容体の構造基盤の解明」
 Chem. Pharm. Bull. vol. 65 No. 8 pp. 697-705
小坂田文隆(名古屋大学大学院創薬科学研究科 講師)
「網膜再生治療に向けた新規幹細胞由来網膜細胞作成法の開発と創薬への応用」
 YAKUGAKU ZASSHI vol. 137 No. 1 pp. 23-29
神谷 真子(東京大学大学院医学系研究科 助教)
「化学蛍光プローブの精密設計による革新的バイオイメージングツールの創製」
 YAKUGAKU ZASSHI vol. 136 No. 10 pp. 1355-1365
塚野 千尋(京都大学大学院薬学研究科 講師)
「パラジウム触媒反応および脱芳香環化を基軸とした複雑な生物活性天然物の全合成」
 Chem. Pharm. Bull. vol. 65 No. 5 pp. 409-425
平野 圭一(東京大学大学院薬学系研究科 助教)
「アート錯体化を基盤とするヘテロ原子導入反応の開発:パーフルオロアルキル化、ホウ素化、芳香族水酸化およびアミノ化反応」
 YAKUGAKU ZASSHI vol. 136 No. 11 pp. 1455-1468
宮地 孝明(岡山大学自然生命科学研究支援センター 准教授)
 「創薬を指向した真核生物トランスポーターの構造と機能に関する研究」

創薬科学賞受賞者

(応募2件、授賞2件)

「新規カリウムイオン競合型アシッドブロッカー ボノプラザンの創製」
 西田 晴行(武田薬品工業株式会社 医薬研究本部化学研究所 主席研究員)
 稲富 信博(元武田薬品工業株式会社)
 梶野 正博(三國製薬工業株式会社 研究開発部長)
 樽井 直樹(武田薬品工業株式会社 医薬研究本部 生物分子研究所長)
〔受賞理由〕
 ボノプラザンは、既存のプロトンポンプ阻害剤(PPI)とは異なる作用様式でプロトンポンプを阻害するカリウムイオン競合型アシッドブロッカーで、幅広い酸関連疾患の適応で2015年2月に日本で発売された。PPIの課題である作用発現の遅さ、効果の個人差および食事の影響などを改善し、臨床において強い酸分泌抑制効果と長い作用持続により、重症の逆流性食道炎の治癒およびH. pylori除菌において、既存のPPIに比べて優れた効果を示している。世界の多くの製薬企業が副作用等の理由から開発を断念する中、自社化合物ライブラリーから新規な化学構造のヒット化合物を見出し、活性・代謝安定性・毒性面の課題を改善し、完成度の高いボノプラザンを見出したことは創薬科学賞に値する。  
 ファルマシア 52巻 6号 539-543頁

「抗PD-1抗体ニボルマブ(nivolumab)の研究開発」
 柴山 史朗(小野薬品工業株式会社筑波研究所先端医薬研究部 主席/研究統括部 上級アドバイザー(免疫・バイオ医薬研究))
 本庶  佑(京都大学大学院医学研究科 客員教授/静岡県公立大学法人 理事長)
 湊  長博(京都大学大学院医学研究科 教授)
 岩井 佳子(産業医科大学医学部分子生物学 教授)
 Alan Korman(Vice President, Immuno-Oncology, Bristol-Myers Squibb Biologics Discovery California)
〔受賞理由〕
 抗PD-1抗体ニボルマブは、癌細胞による腫瘍免疫の回避に重要な役割を果たしているPD-1/PD-L1経路のPD-1をブロックすることにより腫瘍免疫を活性化し、抗腫瘍効果を示す抗癌剤である。2014年7月に日本において世界初の抗PD-1抗体として「根治切除不能な悪性黒色腫」を適応として承認された。長年に亘る産学共同研究の中で、PD-1分子の機能解明と抗PD-1抗体の抗癌効果の発見が行われ、腫瘍免疫の基礎研究へ大きな影響を与えた。PD-1/PD-L1の腫瘍免疫療法における重要性を認知したグローバルメガファーマによるPD-1ブロッカーの画期的な臨床試験成績は腫瘍免疫療法に対する評価を一変させている。抗PD-1抗体の抗癌剤としての可能性を見出し、いち早く日本において開発を行い臨床現場に提供したことは創薬科学賞に値する。  
 ファルマシア 52巻 4号 322-326頁

功労賞受賞者

(授賞3件)

大村  智(北里大学 特別栄誉教授)

内山  充(公益社団法人薬剤師認定制度認証機構 顧問)
宮田 直樹(名古屋市立大学 名誉教授
     名古屋市立大学創薬基盤科学研究所 副所長 特任教授)

教育賞受賞者

(応募1件、授賞1件)

吉富 博則(福山大学薬学部 教授)
 「実務実習を中心とした薬剤師養成教育への貢献」

佐藤記念国内賞受賞者

(応募1件、授賞1件)

寺田 智祐(滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 教授・薬剤部長)
「がん薬物療法の個別化・適正化に関する研究」
 YAKUGAKU ZASSHI vol. 136 No. 11 pp. 1469-1476