MEDCHEM NEWS Vol.34 No.4
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スクリーニング学研究会編241有結合型薬剤創製基盤)の構築と将来展望までを丁寧に解説された。イクスフォレストセラピューティクスの樫田俊一先生は、RNA構造ライブラリと化合物ライブラリの全組み合わせ相互作用を解析する独自の手法を解説された。化合物のRNA構造への親和性、選択性、および一塩基解像度での結合様式情報などを取得することが可能になったとし、RNA標的低分子創薬の実現性の高まりを感じた。東京医科大学の吉岡祐亮先生は、エクソソームを含むEV(Extracellular Vesicles)創薬の基礎から、臨床応用の実情と問題点までわかりやすく解説された。最後に、王子田委員長より、3日間を通して途切れることのなかったディスカッションと素晴らしい講演に対する感銘、そして将来の再会への期待が述べられ閉会となった。 本セミナーは産官学からの創薬に関わる幅広い分野の第一線で活躍されている講師をお招きしている。また、講師を含めた参加者間の深い交流も特色である。本セミナーの参加者が、創薬に対する視野と人的ネットワークの双方を広げることができたなら、委員一同これほど冥利に尽きることはない。次回 探索研究において、ハイスループット・スクリーニング(以下HTS)と化合物の最適化は地続きにあるが、両ステージにおける化合物評価に関する考え方は大きく異なる。化合物最適化を主に経験してきた合成研究者が初めてHTSに携わる際、この考え方の違いに戸惑うかもしれないが、そのような方々にとって本書はHTSにおける化合物評価ストラテジーに対する理解を深める上で非常に有用な一冊である。 本書はまず、一般的なHTSの概念や流れの説明から始まり、具体的なスクリーニングの手法の紹介へと続く。各スクリーニング法はターゲット分子や作用メカニズム、検出法によって分類され、手法の原理と実例がバランスよく織り交ぜられて説明されている。また実際にHTSを実施する際に考慮すべき点として、系の品質評価、偽陽性の取り扱い、化合物ソースの選び方やヒットバリデーションの進め方など、実羊土社/B5型/374ページ/定価9,900円(税込)(2022年6月刊)創薬セミナーは2025年7月開催を予定している。明日の創薬を担う読者の積極的な参加を期待したい。 第39回創薬セミナー参加者の皆様からのアンケートによるご意見(https://www.pharm.or.jp/images/39th_comments.pdf)がご覧いただけます。創薬セミナーの詳細についてはホームページ(https://www. pharm.or.jp/seminar/)をご確認ください。(アンケート集計結果)(創薬セミナートップページ)践的な内容の章も多い。合成研究者の携わる範疇を超えるかもしれないが、HTS用装置の具体的な説明や自動化に関する章もあり、HTS担当者と議論する上で有益な基礎知識が得られるだろう。またDNA-encoded library(DEL)や中分子、Protein-Protein Interaction(PPI)創薬といった近年注目されている分野についても触れられている。広範な内容を網羅しているため、各章ごとの内容はある程度限られてしまうが、さらに深く知りたい場合には章末の参考文献が役立つだろう。これからHTSを新たに担当する合成研究者にはぜひ本書を手に取り、スクリーニングチームと議論する上での基礎知識の習得に役立てていただきたい。鏑木洋介(エーザイ株式会社)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan星川 環(エーザイ株式会社)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan創薬研究のための実験医学別冊紹介スクリーニング学実践テキスト

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