MEDCHEM NEWS Vol.34 No.4
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NNNOHHOHN●ステム「-minib」をもつ医薬品(日本名、開発企業、承認状況)1.Asciminib(アシミニブ、ノバルティスファーマ、2022年承認)OAsciminib(アシミニブ)239HNFFClました医薬化学部会前会長の国嶋崇隆先生、医薬化学部会の先生方、創薬懇話会の運営と進行にご協力いただきました実行委員の先生方、ポスター発表審査をご担当いただきました審査員の先生方、また会の開催に多大なるご協力をいただきました万世閣ホテルミリオーネの寺坂清治氏に心から感謝申し上げます。また、2024年度国際学会等助成のご支援をいただきました。関係者の諸先生方をはじめ、伊藤医薬学術交流財団に深く定義: kinase inhibitors, binds to myristoyl binding site(ミリストイル基結合部位に結合するキナーゼ阻害薬) 薬効分類:抗悪性腫瘍薬●薬効・薬理 慢性骨髄性白血病(CML)患者では、造血幹細胞内において、ABL1遺伝子がBCR遺伝子と結合して生じるBCR-ABL1融合遺伝子により、BCR-ABL1融合タンパク質のABL1チロシンキナーゼが恒常的に活性化されており、基質となるタンパク質が過剰にリン酸化されている。そのため、細胞内シグナル伝達系が活性化され、細胞増殖経路および抗アポトーシス経路が亢進され、CMLが発症している。ステム「-minib」は、BCR-ABL1融合タンパク質のABL1チロシンキナーゼ活性を阻害する医薬品のうち、ABL1のミリストイル基結合部位に特異的に結合することを特徴とする医薬品を定義するステムとして、USAN評議会によって定義された。ABL1のチロシンキナーゼ活性を阻害すると、BCR-ABL1融合タンパク質のリン酸化活性が阻害され、それに続く下流のシグナル伝達分子のリン酸化が阻害されることで腫瘍増殖抑制作用を示す。ステム「-minib」をもつ医薬品は、ABL1タンパク質のアロステリック部位であるミリストイル基結合部位に特異的に結合することから、BCR-ABL1ミリストイル基結合ポケット標的阻害薬とも呼ばれ、CMLを適応とする。 なお、同じくBCR-ABL1融合タンパク質のABL1チロシンキナーゼを阻害する医薬品として、すでにBosutinib(ボスチニブ)、Dasatinib(ダサチニブ)、Imatinib(イマチニブ)、Nilotinib(ニロチニブ)、Ponatinib(ポナチニブ)など、チロシンキナーゼ*)USAN評議会が定義したステム感謝申し上げます。加えて、北海道和光純薬株式会社、株式会社コンドウサイエンス、株式会社ムトウにもご支援をいただきました。関係者の皆様にも感謝申し上げます。宮田 直樹・中川 秀彦(名古屋市立大学)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan阻害薬を定義するステム「-tinib」をもつ医薬品がいくつか承認されている。しかし、これらは、BCR-ABL1融合タンパク質のABL1のチロシンキナーゼのATP結合部位に結合することでABL1のチロシンキナーゼ活性を阻害するので、ステム「-minib」で定義される医薬品とは作用機序が異なる。それゆえ、ステム「-minib」で定義される医薬品は、BCR-ABL1融合タンパク質のABL1チロシンキナーゼのATP結合部位に結合する医薬品に抵抗性を示す患者にも有効性が期待される。●各論1. アシミニブの塩酸塩(セムブリックスⓇ):BCR-ABL1融合タンパク質のABL1のチロシンキナーゼのミリストイル基結合ポケットに結合して、腫瘍増殖抑制作用を示す。従来のATP結合部位に作用するBCR-ABL1融合タンパク質のABL1のチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性または不耐容のCMLを適応とする。「創薬懇話会2024 in 札幌」実行委員長市川聡(北海道大学大学院薬学研究院)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japanステム手帖-27●ステム -minib*

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