MEDCHEM NEWS Vol.34 No.4
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romuemuov romuar lt t / *nmOBO*Betig036ll000・2m+n+BPAHOavvruSevitesoD%DaeR2. BPAの代謝制御に着目した「留める」DDS228(A)Extracellur BPA concentrationHigh(C)12.0PVA-BPA10.08.06.04.02.00.0Time(h)(A)LAT1による交換輸送。(B)LAT1介在型エンドサイトーシスとPVA-BPAの化学構造式。(C)皮下CT26腫瘍に対する集積性。(D)皮下CT26腫瘍に対するBNCT効果。(E)肺がん同所移植モデルに対する治療効果。図1  「留める」DDS(PVA-BPA)の概要(E)100%80%60%40%20%Control0%BPALAT1CytosolGlutamineTyrosineCell membraneLow(D)70605040302010BPABPAPolylmerBPAPolymer-BPA(B)ControlBPAPVA-BPA2010DayLAT1-mediatedendocytosisLocalization inendo-/lysosomesPVA-BPAPVA*PVA-BPABPA50Day100OHOHOHOHCOOHNH2COOHNH2ている。これにはLAT1が関連している(図1A)。LAT1は交換輸送体で、細胞外BPAを取り込む際にグルタミンのような細胞内アミノ酸を排出する。そのため、細胞外BPA濃度が高いときは、細胞内アミノ酸を排出しながらBPAを細胞内に効率的に取り込む。逆もしかりで、細胞外BPA濃度が低下すると、LAT1の基質である細胞外のチロシン等のアミノ酸を取り込み、細胞内のBPAを排出してしまう。その結果として、細胞内BPA濃度を長期的に高く維持することが困難となる。この課題を解決するために臨床の現場では、熱中性子照射中にもBPAを持続投与することにより、腫瘍内ホウ素濃度を高く維持する方法がとられている。一方、肺がんのような深部腫瘍を標的としたBNCTを実施する場合、複数方位から熱外中性子を照射する、いわゆる多門照射が有用であると考えられるが、その場合、患者の体位を適宜調整する必要があり、この投与形態ではその動きに制限がかかることが懸念される。また、多門照射では照射時間が長くなるため、さらに追加でBPAを持続投与しなければならなくなると考えられる。したがって、BPAの腫瘍内滞留性を改善することができれば、BPAの治療効果を飛躍的に高めるだけでなく、深部がんへの適用範囲拡大へとつながることが期待される。 このBPAの代謝の課題を解決する方法として、筆者らは図1Bのように、複数のBPAをPVAの側鎖にボロン酸エステルを介して担持させるという極めて単純な方法を着想した3)。この化学構造において、BPAがLAT1から認識されるのに重要であるとされるフェニルアラニン様構造はそのままの状態に維持されている。この高分子-BPAはLAT1に選択的に結合するが、サイズが大きいためにそのまま細胞質へと移行せずエンドサイトーシスを通じて細胞内に取り込まれ、エンドソーム・リソソーム内に隔離されることで、LAT1の交換輸送による細胞外排出を一時的に回避・遅延できると発想した。PVAを用いた理由としては、まず安全性があげられる。BPAは500mg/kgと大量に投与される薬剤であるため、それと一緒に投与される高分子も安全性が高くシンプルな化学構造をもつことが必要である。PVAはボロン酸エステル形成に必要な最小の化学構造をもちながら、生体適合性材料として長年使用されてきた実績がある。次

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