MEDCHEM NEWS Vol.34 No.4
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(KRAS G12D変異陽性)(ASP3082))Mμ()mm(積体瘍腫3000103010310103033100110030010331001OSMD8th KRAS G12D分解誘導剤OSMD1st KRAS G12D分解誘導剤OSMD.....1.0.0.0...0.0.3005日209細胞株:AsPC-1反応時間:24時間図3  ASP3082の創出経緯図4  KRAS G12D変異を有するヒト膵臓がん細胞異種移植マウスモデルにおける有効性試験反発分解誘導剤(静脈内)KRAS阻害剤(経口)KRAS10倍ASP3082反発構造の微調整(リンカー、バインダー)38th KRAS G12D分解誘導剤5-10倍1015対照(溶媒)阻害剤@30mg/kg経口2回/日分解誘導剤(ASP3082)@30mg/kg静脈内2回/週KRAS G12Dβ-actinKRAS:Kirsten rat sarcoma viral oncogene homologue、DMSO:Dimethyl sulfoxidePK-59細胞がん細胞移植15001000500た。さらなる活性向上のため三者複合体モデルの詳細を分析すると、この分解誘導剤は、ユビキチンリガーゼと立体反発をしていることが示唆された。そこで、この立体反発を抑制するようにKRAS結合剤部分を再考することで、8番目に合成された化合物は、分解活性が10倍増強した。さらに三者複合体形成時のユビキチンリガーゼとKRASの立体反発を解消すべく、リンカーとKRAS結合部位の微調整を行った38番目の化合物(ASP3082)は、さらに分解活性が5〜10倍強くなった。 ASP3082は、in vitroにおけるKRAS G12D変異体の分解作用やKRAS G12D変異をもつがん細胞株に対する増殖阻害作用に加え、動物モデルを用いた評価においても阻害剤を顕著に上回る有効性を示した。具体的には、KRAS G12D変異を有するヒト膵臓がん細胞をマウスに移植して、KRAS G12D変異体分解誘導剤であるASP3082と、ASP3082のKRAS結合部分に相当するKRAS G12D阻害剤を投与して抗腫瘍効果を比較した。KRAS結合部位に相当する低分子阻害剤においても、腫瘍の成長を一定程度抑制することが確認されたが、その効果は十分ではなかった。一方、阻害剤と比較して、ASP3082は非常に強い抗腫瘍効果を示し、腫瘍の退縮が認められた(図4)。 研究開始からわずか5ヵ月という短期間で新薬候補として同定されたASP3082は、開発候補品選定後わずか1年でIND申請を達成した。そして現在、計画どおり、第Ⅰ相試験が進行中である。現時点では同機序で臨床入りしている化合物は他になく、ファーストインクラスの薬剤となることが期待される。また、KRAS G12D変異

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