N. K. Dunlap/D. M. Huryn著 長野哲雄監訳東京化学同人/B5変形判/376ページ・定価5,940円(税込)(2020年3月刊)205AUTHOR 2) Itoh, Y., et al., J. Am. Chem. Soc., 132, 5820‒5826 (2010) 3) Winter, G.E., et al., Science, 348, 1376‒1381 (2015) 4) Bondeson, D.P., et al., Nat. Chem. Biol., 11, 611‒617 (2015) 5) 内藤幹彦, et al., MEDCHEM NEWS, 28, 29‒35 (2018) 6) Li, K., et al., Chem. Soc. Rev., 51, 5214‒5236 (2022) 7) 石川稔, et al., MEDCHEM NEWS, 28, 88‒92 (2018) 8) Gadd, M.S., et al., Nat. Chem. Biol., 13, 514‒521 (2017) 9) 永沼美弥子, et al., MEDCHEM NEWS, 33, 70‒74 (2023)10) 石田祐, MEDCHEM NEWS, 33, 165‒169 (2023)11) Neklesa, T.K., et al., Nat. Chem. Biol., 7, 538‒543 (2011)12) Bashore, C., et al., Nat. Chem. Biol., 19, 55‒63 (2023)13) 高橋大輝, et al., MEDCHEM NEWS, 32, 201‒206 (2022)参考文献 1) Sakamoto, K.M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 8554‒8559 (2001) 創薬化学は、有機化学を基盤として、薬理学、生化学、分析化学、薬物動態学、製剤学などの幅広い領域を含む分野横断的な学問分野である。大学における有機化学の教育は、年々高度化されている一方で、学際的な学問である創薬化学の教育については歴史が浅く、模索状態の大学が多いのではないだろうか。そのため、どのような書籍を基に創薬化学を学習、あるいは教育すべきか悩んだ教員・学生の方も多くいることだろう。 本書は、「医薬品の探索と創製」「医薬品の標的分子」「治療領域別の医薬品」の三部で構成されている。第Ⅰ部では、医薬品発見の歴史的経緯から始まり、ヒット化合物の取得、リード化合物の最適化など、最先端の医薬品の開発過程が詳細に説明されている。後半の第Ⅱ部では、医薬品の標的とする生体分子別に、また、第Ⅲ部では医薬品の治療領域別に、それぞれ医薬品の具体的な構造や作用機序などを系統的に学ぶことができる。 昨今、創薬化学に関する優れた本がいくつか出版されてい製などに展開されている。分解創薬やその分子基盤となる二機能性分子や分子糊は、多くの発展性を秘めている。14) Zhao, L., et al., Signal Transduct. Target Ther., 7, 113 (2022)15) Morreale, F.E., et al., Cell, 185, 2338‒2353 (2022)16) Wang, M., et al., J. Am. Chem. Soc., 145, 12861‒12869 (2023)17) 山田若菜, et al., MEDCHEM NEWS, 34, 145‒149 (2024)18) Costales, M.G., et al., J. Am. Chem. Soc., 140, 6741‒6744 (2018)19) Ito, T., et al., Science, 327, 1345‒1350 (2010)20) 上原泰介, et al., MEDCHEM NEWS, 31, 36‒40 (2021)るが、本書には大学教育だけでなく、企業の研究現場からの視点も加わっており、ここに本書の大きな特色がある。各章に医薬品開発に成功した化合物、あるいは開発途中で断念した化合物の実例が2例ずつ掲載され、まさに著者らが実際に製薬企業で創薬研究に携わった経験に基づく視点から解説されている。また、実例の中には、「バーチャルスクリーニングを活用した治療薬の開発」も含まれており、AIを活用した発展的な内容にも踏み込んでいる。このように本書は、創薬化学の入門書と専門書を兼ねた内容となっており、創薬化学を学ぶ学部学生および大学院生の教科書として良書であるだけでなく、大学教員や製薬企業の若手研究者にとっても有用な参考書となるだろう。ぜひ手にとって、一読されることを勧めたい。石川稔(いしかわ みのる)1996年 東京工業大学大学院生命理工学研究科修士課程 修了1996年-2008年 明治製菓株式会社(現Meiji Seikaファルマ株式会社)2006年 東京大学博士(薬学)2008年-2019年 東京大学分子細胞生物学研究所助教、講師、准教授2019年 現在に至るCopyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan植田 浩史(東北大学大学院薬学研究科医薬製造化学分野)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan紹介ダンラップ・ヒューリン創薬化学
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