(zipalertinib)3. オープンイノベーションの取り組み開発コード(一般名)(フチバチニブ)図4 システイノミクス創薬 パイプライン特徴肝内胆管がん変異EGFR非小細胞肺がん阻害非小細胞肺がん関節リウマチ慢性特発性蕁麻疹対象固形がん固形がん開発段階承認194FGFR阻害EGFR阻害BTK阻害TAS-120TAS-121TAS6417TAS5315TAS0728TAS2940BREAKTHROUGHTHERAPYBREAKTHROUGHTHERAPYhttps://www.taiho.co.jp/rd/clin_dev/pipeline/index.html2024年8月1日現在Phase1Phase2Phase3戦略的開発中止3-1.Corporate Venture Capital(CVC)を介した連携 当社は2つのCVCを設立し、独創的な研究や革新性のある開発技術に携わるベンチャー企業およびスタートアップへの積極的な投資と支援を行っている。2016年か一つに変異が起こると、がんが発生しやすくなると考えられている。中でもKRASはヒトのがんにおいて最も高い頻度で変異が見られるがん遺伝子の一つであり、特に死亡率の高い膵がん、大腸がん、肺がんなどにおいて、遺伝子変異が多く検出されることが広く知られている。一方でRAS遺伝子変異が、がんのドライバー変異として発見されてから40年以上経過するものの、いまだ創薬が極めて難しい標的となっている。当社はシステイノミクス創薬技術を応用し、2012年からKRASを標的とする創薬への道を切り拓き、特にKRAS G12Cに対する共有結合型薬剤を創製することに成功している。 当社は、2019年12月に大塚製薬子会社のアステックス社およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (MSD)社と、KRASがん遺伝子を含む複数の薬剤ターゲットに対して開発中の低分子阻害剤に特化したグローバルな研究提携とライセンスに関する独占的契約を締結した。さらに、2019年には本戦略的提携をSHP2など他のKRASに関する標的にも拡大し、パートナーシップの下、画期的新薬を世の中に出すべく推進している。2024年現在、共同研究により創出したKRAS阻害剤はグローバルで第3相試験へ進んでいる。3-2.アカデミアとの連携 当社は、2020年から米国のUniversity of Texas MD Anderson Cancer Centerと提携し、難治性がんに対する包括的な創薬の共同研究を進めている。当社はあらゆる創薬基盤技術を応用して、難治性がんに有効な治療薬の創製を加速していく。特に脳腫瘍、脳転移に対する薬剤創製においては、自社の脳移行性化合物を見出す創薬基盤と高い専門性を有する社外パートナーの研究力を融合し取り組んでいる。 アカデミアとの連携は、高度な専門的知見が創薬技術を高める一助となることはもちろんだが、真の臨床ニーズを捉えた創薬を考える切り口や人財育成の観点でもメに設立したTaiho Ventures, LLC(米国)は、主にがん領域で国内外の有望なバイオベンチャーへの投資を行っている。2019年設立の大鵬イノベーションズ合同会社(日本)では、国内の医療関連、コンシューマーヘルスケア関連など、創業検討段階を含む有望なスタートアップへの出資を行っており、インキュベーションや事業成長を支援している。 競争が激しい創薬研究において、最先端の情報をいち早く入手し、競争力を獲得することは戦略上極めて重要である。当社はCVCを通じて、潜在するさまざまな情報をグローバルにキャッチし、常にオープンイノベーションの機会を創出している。有望な外部技術と当社の経口抗がん剤のパイオニアとして培ってきたノウハウとを組み合わせることで、所有する創薬基盤技術の進化を加速する。
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