荻原琢男編著170AUTHOR2005年5月〜8月 米国メルク社プロセス化学インターン2007年 東京工業大学理工学研究科化学専攻博士後期課同 年4月〜9月 マックスプランク石炭研究所博士研究員同 年10月 新潟薬科大学応用生命科学部助教2015年11月 中外製薬株式会社入社、現在に至る 本書初版「TSUJI’s PHARMACOKINETICS エピソード薬物動態学 ─薬物動態学の解明─」は、2012年に薬科系大学や大学薬学部で薬物動態学(生物薬剤学)を学ぶ学生を対象として出版された。初版の刊行から10年を迎え、最新の情報をできるだけ網羅して凝縮し、全面的に加筆している。また、一見難解な項目をより身近に感じてもらうために、「Episode」や「Column」などを盛り込んで読み物としても楽しめるように工夫されている。(冒頭の“第2版の刊行にあたって”より) 本書は図表や、化合物の構造式が所々に掲載され、薬物動態学を基礎から学び直したい方や、薬学部出身以外の若手にとっても比較的読みやすい内容になっている。他の類書と異なる点は、病院や薬局で働く薬剤師や製薬会社の薬物動態部門に勤務する新人研究者が遭遇する課題を、クイズ形式で「Episode」として紹介しているところ。実際の現場で起こり京都廣川書店/B5判/363ページ・定価7,920円(税込)(2023年4月刊)棚田幹將(たなだ みきまさ)2001年 九州大学薬学部卒業2003年 九州大学大学院薬学府修士課程修了2006年 九州大学大学院薬学府博士後期課程修了同 年 中外製薬株式会社入社、現在に至る田宮 実(たみや みのる)2002年 東京工業大学理学部化学科卒業2004年 東京工業大学理工学研究科化学専攻修士課程修鷹野 宏治(たかの こうじ)1994年 東京理科大学薬学部製薬化学科卒業1996年 東京理科大学薬学研究科修士課程修了同 年 中外製薬株式会社入社、現在に至る2004年 東京理科大学理学研究科論文博士了シップ生程修了得る事例を題材にしているので、頭に入りやすい。例えば、花粉症などアレルギー性鼻炎に使われる抗ヒスタミン薬の、中枢移行性の違いによる眠気などの副作用発現の度合いについてや、抗インフルエンザウイルスのオセルタミビルのような経口吸収可能なプロドラッグを設計する際の注意点など。さらには、腎機能が低下している患者さんに薬を投与する際に、臓器クリアランスを考慮し、どの薬の組み合わせが最適かを考える問題もある。 このように各章に複数の「Episode」や「Column」などの面白いストーリーが織り込まれ、薬物動態学が専門でない研究者でも興味をかきたてられる。気が付くと読み込んでしまう一冊である。松尾 篤(まつお あつし)1993年 東京工業大学理学部卒業1995年 東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了同 年 科研製薬株式会社入社2001年 中外製薬株式会社入社、現在に至る白石 拓也(しらいし たくや)1992年 東北大学薬学部卒業1994年 東北大学大学院薬学研究科修士課程修了同 年 中外製薬株式会社入社、現在に至る2010年 東北大学大学院薬学研究科論文博士Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan関 法良(日本たばこ産業株式会社)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan─薬物動態学の解明─紹介エピソード薬物動態学 第2版
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