MEDCHEM NEWS Vol.34 No.3
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34)seergedi(spF3CNHNHOOOOONNNONOONONOONOONRNONNONONOOONOONORONN4N3OONOOONO340NOO00NH−90NHNHOOF3C168(A)Figure 4.  α,α-ジアルキルアミノ酸の導入による膜透過化合物の獲得Figure 5.  (A)ポジション3および4の構造活性相関、(B)Ac-Aze(2)-NMe2のφψプロット(MDシミュレーション)Caco-2 Papp×10−6(cm/s)KRAS-SOSIC50(nM)AsPC-1IC50(nM)MeGlyMeGly5230114900>3000MeAlaMeGly67Aze(2)MeGly110051MeGly817012003800>30009Pic(2)MeGly2500>300010MeGlyMeAla11MeGlyAze(2)2223012MeGly7206113MeGlyPic(2)990>300014MeAlaAze(2)241100.73 N.T.1.38 1.75 N.T.N.T.0.99 1.57 N.T.1.62 KRAS-SOSIC50(nM)Position 3phi(degrees)Caco-2 Papp×10−6(cm/s)Position 4Compound 2KRAS-SOS IC50 = 25 nMCaco-2 papp = 0.16 cm/sNo.ProProHNClF3CClHNHNHNNo.4-chlorophenyHN18090−180−180−9036110cyclohexyl(B)HN800600400200901800.390.83ψφN立体構造の解釈に活用されている7)。 筆者らは構造最適化の初期に、ペプチド側鎖の変換のみでは膜透過性が向上しない課題に直面した。筆者らはDrug-like criteria設定の過程で、膜透過しにくいN-アルキルアミノ酸の並びの存在を解明していたため4)、主鎖構造の部分的な改変は膜透過性を向上させうると予想した。しかしながら、主鎖構造の改変はペプチドコンフォメーションの大きな変化をしばしば引き起こし、結果として薬理活性の大幅な低下をもたらす。筆者らはペプチドのφψプロットを解析し、そのφψ角に類似した角度を好むアミノ酸に変換することで、親化合物のコンフォメーションを維持したまま主鎖構造を部分的に改変することを試みた。 筆者らは、化合物1とKRASのX線複合体構造から、ポジション9のφψ角がα,α-ジアルキルアミノ酸が特徴的に取る角度であることに着目した8)。そこで、化合物2に対して環状のα,α-ジアルキルアミノ酸であるシクロロイシンをポジション9に導入(3、4)したところ、狙いどおり主鎖のN-アルキルアミノ酸の並びを改変しながらも活性を維持できた。さらなる誘導体化を経て、中程度の膜透過性を示す化合物を特定するに至った(Figure 4)。 φψプロットは精緻な構造改変に伴う活性変化の理解にも有効であった。MeGly-MeGly(ポジション3および4)モチーフをMeAlaおよび環状アミノ酸に変換したところ、親化合物であるMeGlyを除くとポジション3、ポジション4いずれにおいてもAze(2)への変換(7、11)が最も良好な活性を示した(Figure 5A)。MeGly-MeGlyモチーフはタンパク質表面に接しており、周りに空間があることからペプチド-タンパク質間の立体的反発では、このSARを説明できなかった。そこで、各アミノ酸が取りうるφψ角をMD計算にて予測したところ、ポジション3および4ともにAze(2)が取りうるφψ角が親化合物のφψ角と最もよい一致を示し、Aze(2)が最も高い活性を示したことを合理的に説明した(Figure 5B)。

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