H2CONFFNNNNNOH3C*)INN専門家協議が定義したプレステム(ステム候補)、USAN評議会が定義したステム●ステム「-rasib」をもつ医薬品(日本名、開発企業、承認状況)164AUTHOR同 年 第一三共株式会社入社2023年 北海道大学薬科学博士取得HCH3CH3OHCH3定義: RAS protein inhibitors(RASタンパク質阻害薬) 薬効分類:抗悪性腫瘍薬1.Sotorasib(ソトラシブ、アムジェン、2022年承認)2.Adagrasib(未定、Mirati Therapeutics、日本未承認、2022年米国承認、2024年欧州承認)●薬効・薬理 がん原遺伝子の一つであるRAS遺伝子は、細胞増殖を促進するシグナルを伝達するRASタンパク質を作り出す遺伝子である。RAS遺伝子には、KRAS、NRAS、HRASの3種類の遺伝子があり、産生されるKRAS、NRAS、HRASタンパク質は、GTP結合タンパク質の一種であり、GTPのリン酸エステルをGDPとリン酸に加水分解する酵素活性を有し、転写や細胞増殖、細胞の運動性の獲得のほか、細胞死の抑制など数多くの現象に関与している。遺伝子変異によって活性化されたRASタンパク質がさまざまながんにおいて確認されており、RAS遺伝子の変異により、細胞の増殖を促進するシグナル伝達経路が恒常的に活性化し、細胞ががん化しやすくなっていると考えられる。KRAS遺伝子変異は、膵臓がん、大腸がん、肺がん、多発性骨髄腫、子宮体がんなどで、NRAS遺伝子変異は、悪性黒色腫、多発性骨髄腫で、HRAS遺伝子変異は、膀胱がん、甲状腺がんで確認されている。ステム「-rasib」をもつ医薬品は、RASタンパク質を阻害して抗腫瘍作用を示す。金田龍太郎(かなだ りゅうたろう)2016年 北海道大学大学院生命科学研究院生命科学専攻 神子島佳子(かごしま よしこ)1999年 東京大学工学部工学系研究科修士課程修了同 年 三共株式会社入社2007年 第一三共株式会社に転属(統合により)2010年 千葉大学薬学博士取得修士課程修了●各論1. ソトラシブ(ルマケラスⓇ):G12C変異を有するKRASタンパク質に作用して、KRASタンパク質の活性化を阻害し、下流へのシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示す。がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを効能・効果とする。2. Adagrasib(KrazatiⓇ):ソトラシブと同様、G12C変異陽性のKRASタンパク質の活性を阻害する。非小細胞肺がんを適応とする。Sotorasib(ソトラシブ)宮田 直樹・中川 秀彦(名古屋市立大学)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan樋口才飛(ひぐち さいと)2003年 大阪大学大学院薬学研究科修士課程修了同 年 第一製薬株式会社入社2007年 第一三共株式会社に転属(統合により)2014年 京都薬科大学薬学博士取得内藤博之(ないとう ひろゆき)1995年 九州大学薬学部薬学研究科修士課程修了同 年 第一製薬株式会社入社2007年 第一三共株式会社に転属(統合により)同 年 九州大学薬学博士取得Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japanステム手帖-26●ステム -rasib*
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