MEDCHEM NEWS Vol.34 No.3
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OONOOOOOOOONO2NOO3OOO*NOFNOO4NHNH*N1 (HTS hit)EP300 HAT IC50 0.61μM2.24μMH3K27ac IC50 EP300 HAT IC50 0.50μM0.13μMH3K27ac IC50 161図1  リード化合物(+)-2取得までの経緯(+)−2図2  プロリン誘導体4取得までの経緯amino acid-basedscaffold hoppingprolinemodification0.056μM0.46μM0.13μM0.38μM0.18μM0.69μM(+)−20.050μM0.13μMNHNNHN3. スキャフォールドホッピングによる  化合物(+)-2が経口暴露を示さなかった要因としてオキサゼパン環の酸化代謝が想定されたため、オキサゼパン環上の置換基変換を実施し、阻害活性を保持しつつ代謝安定性を改善する化合物の獲得を目指した。しかしながら、酸素原子の炭素原子や窒素原子への変換、環サイズの変換を実施したいずれの化合物においても活性が消失する結果となった。そこでオキサゼパン環からの脱却を目的としたスキャフォールドホッピングを実施した(図2)。堅牢な合成法で構造的に多様な置換基導入が可能なアミノ酸をベースとしたスキャフォールドホッピングによって、簡便かつ迅速な構造活性相関情報の取得を図った。その結果、D-プロリン誘導体3においてHTSヒット周辺化合物と同程度のEP300 HAT阻害活性を示すことが確認され、アミノ酸ベースのスキャフォールドホッピングによってオキサゼパン骨格からの変換が可能であることを示した。さらにプロリン環への置換基導入をデザイン・合成したところ、フッ素原子を導入した(4R)-フルオロ-D-プロリン4において活性向上が確認された。4. 良好な経口吸収性を示すDS-9300の創製6) 続いてプロリン誘導体のさらなる活性向上のため、イNHNNHNNHNNHNに深く関与することが知られている4)。 このような背景のもと筆者らは、EP300/CBPが新たながん治療の有望な標的であると考え、経口投与可能な新規EP300/CBP HAT阻害薬の創薬研究に着手した。2. 高活性リード化合物(+)-2の獲得5) EP300 HAT阻害活性を指標として自社化合物ライブラリーを用いたハイスループットスクリーニング(HTS)を実施した。その結果、nMオーダーのEP300 HAT阻害活性と細胞内でのH3K27アセチル化阻害活性を示す化合物1を得た(図1)。HTSヒット化合物周辺の構造活性相関情報を取得するため、まずテトラヒドロピラン(THP)環の変換を実施したところ、シクロペンタン環を導入した化合物2において良好な活性を示した。さらに光学分割したところ(+)体がユートマーであり、強力なin vitro活性を示すことが明らかとなったため、続いて本化合物のin vivo評価を実施した。化合物(+)-2をLK2細胞xenograftモデルマウスへ経口投与し、EP300 HAT阻害の薬力学的バイオマーカーとして考えられる転写因子SOX2(SRY-box transcription factor 2)のmRNA発現抑制活性を評価したところ、残念ながら(+)-2は血中暴露を示さず、明確な薬力学的効果は認められなかった(データ不掲載)。プロリン誘導体の獲得

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