)%FEn(itcarFnoitceEo j59−2158Fig.6 AZD5462 improved left ventricular ejection fraction by non-hemodynamic mechanisms in monkeys diagnosed with heart failure. Reprinted with permission from Journal of Medicinal Chemistry 2024; 67: 4419-4441. Copyright © 2024 American Chemical SocietyError bars show standard error of the mean. ****: p<0.0001; ***: p<0.001; **: p<0.01; *: p<0.05 by Repeated Measures ANOVA, Dunnett’s 2-Sided Post-hoc test75AZD5462706560555045Time Point(Week)Washout13172110mg/kg sc b.i.d.1mg/kg sc q.d.EFav Healthyaged cynoEFav Obeseaged cynoVehicle1mg/kg sc q.d.10mg/kg sc b.i.d.があり、サルにおいて経口投与時の血漿中化合物濃度が上がりにくかったことから、本試験においては皮下投与を採用した。心臓の駆出率(ejection fraction)が低下し心不全を発症した高齢肥満サルに対し、AZD5462を8週間反復投与し駆出率の変化を確認した。1mg/kg QDおよび10mg/kg BIDの用量にてAZD5462を皮下投与したところ、1mg/kg投与群から駆出率の上昇を認め、心不全治療薬としての可能性を示唆する結果が得られた。7. おわりに 今回筆者らは、ML290を起点とした創薬研究を進め、世界で初めて経口投与を可能にしたRXFP1作動薬AZD5462の創製に成功した。起点化合物のML290はドラックライクとは言い難い高い脂溶性と平面性を有しており、これらを解消しながらアゴニスト活性を向上させることは本当に大きな挑戦であった。ときに枠に囚われない大胆な構造変換により、A環部分の極性置換基として活性・代謝安定性・溶解性などを一挙に改善するカルボン酸を発見した。また小さな置換基であるメチル基などの導入を丹念に行うことで、思わぬ活性向上にも遭遇した。これら活性向上に至る構造変換の積み重ねがあって初めて、活性発現に重要と当初考えられたC環部分のアニリドをアルキルアミドへと大きく変換することが可能となり、その後の代謝安定性改善へとつなげることができた。これらのブレイクスルーは、ネガティブデータばかりが続いた時期にも決して諦めることなく、参考文献 1) Catania A., et al., Pharmacol. Rev., 56, 1‒29 (2004) 2) Ponikowski P., et al., Eur. Heart J., 35, 431‒441 (2014) 3) Metra M., et al., N. Engl. J. Med., 381, 716‒726 (2019) 4) Granberg K.L., Sakamaki S., et al., J. Med. Chem., 67, 4442‒4462 (2024) 5) Granberg K.L., Sakamaki S., et al., J. Med. Chem., 67, 4419‒4441 (2024) 6) Erlandson S.C., et al., Nat. Chem. Biol., 19, 1013‒1021 (2023) 7) Chen C.Z., et al., J. Biomol. Screen., 18, 670‒677 (2013) 8) Xiao J., et al., Nat. Commun., 4, 1953 (2013) 9) McBride A., et al., Sci. Rep., 7, 10806 (2017)10) Schönherr H., et al., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 12256‒12267 (2013)11) Rosenmeier J., et al., Eur. Heart J., 44, supplement 2 (2023)粘り強く次の化合物アイディアを創出・評価を行った研究員一人一人の熱意と連携により生み出されたものと感じる。 2024年5月現在、3つのPhase1試験を終了し、ヒトにおける経口投与時の薬物動態および安全性を確認することができた11)。今回見出したAZD5462が、病に苦しむ患者さんとそのご家族の福音となる希望ある治療選択肢になることを切に願う。謝辞 本研究成果は、田辺三菱製薬およびAstraZeneca両社の共同研究のもと、多くのメンバーの協力により得られたものです。この場を借りて、関係する皆様に厚く御礼申し上げます。
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