MEDCHEM NEWS Vol.34 No.3
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(% of remaining@1h)(10−6cm/s)124NO1OO2RSOOOO34RS00HNHNHN*FaSSIF: fasted state simulated intenstinal fluid, **FeSSIF: fed state simulated intenstinal fluid151(μM)図1  ヒット化合物Solubility(μM)FaSSIF*FeSSIF**≧475424432469NTNTNTNT図2  化合物4の結合様式HTS hitNo.rac3 MeOIC50ClogP371.3840>1004.494.49394.49OHHNSOOOHMeCaco-2PappLiver microsomehuman131785NTNTNTNTOHMeSer555Tyr572Ser508Arg483rat95NTNTOHMeらず他のシステインを有する分子と結合する可能性がある。そこで、別のNrf2活性化アプローチとして、非共有結合性Keap1-Nrf2 PPI阻害剤が注目されている6)。ただし、報告されている阻害剤の多くは、物性に問題を抱えている。その原因として、Keap1-Nrf2間のPPIを形成する領域が広範であり、アルギニンなどの極性残基を含むアミノ酸によって構成されていることがあげられる。このため、強い阻害活性を達成するためには、分子量や極性表面積(PSA)の増大が避けられず、経口剤としてのドラッグライクな物性を有する阻害剤の開発が困難となる。 こうした背景の下、筆者らは活性および物性のバランスの取れた非共有結合性Keap1-Nrf2阻害剤の開発に取り組んだ。2. 化合物取得戦略とHTSヒット化合物 化合物取得戦略として、筆者らは次の3つの方針を設定した。まず、①ハイスループットスクリーニング(HTS)により、物性が良好な化合物を選抜する。次に、②X線結晶構造解析やコンピューターシミュレーションを活用し構造に基づいた薬物設計(SBDD)を実施する。そして、③効率的な阻害活性の向上を目指した構造変換の評価指標として、リガンド効率(LE)を用いる7)。 社内ライブラリーを用いたHTSの結果、化合物1と2がヒット化合物として同定された(図1)。そのうち、良好な溶解性、膜透過性および代謝安定性を示す2に着目し、その光学活性体を評価した。その結果、阻害活性を示したS体4を起点に、合成展開を進めることとした。3. メチル基の導入で14倍の阻害活性向上! 化合物4とKeap1 Kelchドメインとの複合体のX線結晶構造解析を行った(図2)。その結果、4のカルボキシル基とArg483との塩橋およびSer508との水素結合、アミドカルボニル基とSer555との水素結合、テトラヒドロナフタレン構造とTyr572との疎水的な相互作用が示唆された。また、4のトルエン部分が脂溶性のトンネル内部に深く収容されていた。 次に、既知の阻害剤の結合様式8,9)と比較している中

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