2(3μM)2(μM)(IB: FLAG)a013bc(IB: FLAG)α-tubulin2(3μM)α-tubulin(IB: FLAG)α-tubulin147−+Figure 3. mSA発現MCF7細胞を用いた化合物2の活性評価 −+−+−+−+矢印の示すバンドが標的mSA、上下のバンドはmSAのミトコンドリアへの輸送不良や配列欠損による可能性があるProteasomeInhibition*6h処理*300nM Bortezomib**10μM Leupeptin, 30mM NH4ClLysosomeInhibition**−+−+−+mSA12hmSA(a)化合物2濃度依存的なmSAの減少、(b)化合物2処理時間依存的なmSA減少、(c)細胞質のタンパク質分解系阻害によるメカニズム解析。0.10.3106h4h2h30mSA30min験から、in vitroでの研究コンセプトの証明に成功した。 続いて、生細胞を用いた実験を行った。ミトコンドリアでmSAを発現させるために、mSA配列のN末端にミトコンドリア移行シグナル配列を融合したプラスミドを構築した。このプラスミドによりmSAを一過性発現させたヒト乳がん由来MCF7細胞株に化合物2を0〜10μMで12h処理したところ、3μMから顕著なmSA減少を確認した(Figure 3a)。続いて、3μMの化合物2によるmSA分解のタイムコース実験を行った。結果、30min処理でのmSA減少と、処理時間依存的なmSA減少を確認した(Figure 3b)。また、細胞質のタンパク質分解機構であるプロテアソーム、リソソームを阻害した条件においても、化合物2処理によるmSA減少はキャンセルされなかった(Figure 3c)。加えて、ClpPをノックダウンしたヒト子宮頸がん由来HeLa細胞を用いた実験において、化合物2処理によるmSA分解がキャンセルされる結果も得ている2)。これらの結果から、化合物2処理時のmSA減少がClpP依存的であることを示した。以上より化合物2が生細胞のミトコンドリア内でコンセプトどおりのタンパク質分解誘導活性を有することを確認した。4. ミトコンドリア形態制御への展開 本手法のミトコンドリア形態の制御への展開を試みた。ミトコンドリアは分裂と融合により、その長さ、大きさ、形、数の制御を行い、連続したネットワーク構造を形成する(Figure 4a)。分裂と融合のバランスの欠陥による形態の調節不全はミトコンドリアの機能障害につながり、さまざまな疾患の発症や進行に関連することが明らかになっており、ミトコンドリア形態とそれを司る因子が新たな創薬標的として注目されている。そこで、標的タンパク質として、ミトコンドリアの断片化を誘導し、がんの転移を促進するミトコンドリア局在マイクロペプチドShort Transmembrane Mitochondrial Protein1(STMP1)3)に着目した。STMP1のリガンドやリガンド結合部位は未知のため、mSAを分解タグとしてSTMP1に融合することとし、mSA-STMP1をミトコンドリアに発現させた生細胞を用いた。まず、化合物2の処理でmSA-STMP1が減少することを確認した(Figure 4b)。また、mSA-STMP1を発現させ、ミトコンドリアの断片化を誘起させた細胞に化合物2 10μMの処理をした後に、ミトコンドリア形態の観察を行った。ミトコンドリアの枝わかれの数や枝の長さなど形態を示すパラメータ解析4)の結果、mSA-STMP1の発現によりミトコンドリアが断片化されること、また、化合物2の処理によりmSA-STMP1を発現していないcontrol細胞の状態に近づくことを確認した(Figure 4c)。
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