MEDCHEM NEWS Vol.34 No.3
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-+1μM++---(CBB stain)(kDa)------++--+---+--+---------146Figure 1.  (a)ミトコンドリアClpPを利用するTPDコンセプト、(b)化合物1, 2の構造Figure 2.  (a)in vitroでの化合物1, 2の活性評価、(b)化合物2とdesthiobiotinの競合実験リンカーリンカーTR化合物TR化合物1mM252015(kDa)Ligandfor POIClpPactivatorDegraderMitochondriaTR化合物(1μM)biotin(1μM)1(1μM)desthiobiotin(1μM)2(1μM)ClpPlinkerProtein of interes: POIPOImSAClpPPOI252015(CBB stain)ab12ab--biotindesthiobiotindesthiobiotin2(1μM)ClpPmSAではmSAが顕著に減少した(Figure 2a)。この違いの原因として、mSAとリガンドとの親和性の差が考えられる。BiotinとStreptavidinの親和性はKD=10-14〜-15Mと非常に強固である一方、desthiobiotinはKD=10-10〜-11 Mとbiotinには劣る。一般に、タンパク質はリガンドと結合すると安定化する。化合物1においては、biotin部分とmSAとの相互作用により、mSAが安定化し分解されにくくなったと考えられる。実際に、TR化合物とbiotinを併用処理したサンプルでは、TR化合物とdesthiobiotinを併用処理したサンプルより、mSAの分解が妨げられており、この考察を支持する結果となった(Figure 2a)。以降は化合物2を用いて実験を行った。化合物2とdesthiobiotinを競合させることにより、mSA分解が阻害された結果から、仮説どおり化合物2により活性化ClpPとmSAが近接することでmSAが分解されることを確認した(Figure 2b)。なお、細胞ライセートにClpP、mSA、化合物2を混合した夾雑条件でのin vitro分解誘導実験のプロテオミクス解析では、検出された1410種のタンパク質のうち、化合物2の処理で1/2以下に有意に減少したタンパク質はmSAを含めて2.4%(34種)のみであり、化合物2が選択的に作用することを示唆する結果も得ている2)。以上を含めた実2. ミトコンドリアClpPを利用する標的タンパ ClpPはミトコンドリアマトリックス、原核生物、葉緑体に内在するセリンプロテアーゼで、活性化薬との相互作用により非特異的にタンパク質を分解する。そこでClpP活性化薬と標的タンパク質のリガンドを連結した化合物は、標的タンパク質を活性化ClpPに強制的に近づけ、標的タンパク質の選択的な分解を誘導すると考えた(Figure 1a)。ミトコンドリアClpPの活性化薬として既知のTR化合物1)の1つを採用した。また、コンセプト証明のため、Monomeric Streptavidin(mSA)をモデル標的タンパク質として設定し、mSAリガンドのbiotinあるいはdesthiobitonとTR化合物をリンカーを介して連結させた化合物1, 2を設計、合成した(Figure 1b)。3. 化合物1, 2の活性評価 In vitroで化合物1, 2のmSA分解誘導活性を評価した。各化合物とmSA、ClpPをbuffer中でインキュベートしたところ、化合物1を加えたサンプルではmSA量の変化が見られなかった。一方、化合物2を加えたサンプルク質分解誘導薬の創製

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