144AUTHOR一部の企業ではすでに競争領域研究において活用されている)。 本事業の成果として得られるDELプラットフォームの利活用方策として、アカデミアと連携企業ではそれぞれに出口戦略を設定している。アカデミアにおいては、LEUが本事業成果を基軸として、アカデミア創薬におけるDEL創薬支援実施拠点としての活動を開始する。すなわちBINDS Phase 2事業やその他において、アカデミア創薬支援依頼案件に対し、東京大学薬学系研究科附属創薬機構(DDI)として、従来からのHTS創薬支援に加えDEL創薬支援の双方での支援を、支援依頼者とのコンサルテーションを踏まえて実施する。標的タンパク質の生産と精製は、BINDS Phase 2内生産領域で支援実施していただき、DELセレクションはLEUで実施する。支援依頼者は、自身の所有されている評価系を用いて、開示されたバインダーの機能評価・生物活性を実証するという流れを想定している。 J-MODDELでは本事業で得られた成果を各連携企業の競争領域研究で活用するとともに、本事業で得られた非競争領域研究成果のグローバル利活用の方策として、Japan DELs Research Center(JDC、仮称)の立ち上げ、および自律的運営を計画している。JDCでの事業内容は、①DELの維持管理と規模拡大、②スクリーニング、③新規技術開発、④人材育成、⑤資金管理である。JDCに関してはまだまだ青写真段階ではあるが、本事業の中間評価終了後には、より具体的な方向性の検討を連携企業で進められる予定である。 本事業展開により5年後には、革新的DELプラットフォームの確立、産学共用のDELプラットフォームの連携企業各社およびアカデミアへの実装が実現する。この結果、わが国産学のDEL領域での国際競争力は、メガファーマに肩を並べ得るレベルにまで一挙に引き上げられ、わが国の低/中分子創薬技術の国際競争力強化の参考文献 1) Brenner S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 89, 5381‒5383 (1992) 2) Arico-Muendel C.C., Med. Chem. Commun., 7, 1898‒1909 (2016) 3) 佐々木潤子ら, 実験医学増刊, あなたのラボから薬を生み出す アカデミア創薬の実践, 42, 330‒336 (2024) 4) Clark M.A., et al., Nat. Chem. Biol., 5, 647‒654 (2009)基礎ができ上がり、さらには、海外ベンチャーに過度に依存しない、産学でのDEL活用基盤が確立される状況となる。本事業推進が、わが国の創薬の国際競争力の維持・強化に資するものと期待して、産学一丸となって事業を推進している。謝辞 本寄稿文は、現在本事業の研究代表者である筆者が代表して作成いたしました。本寄稿文執筆にあたり、J-MODDELの方々、東京大学のDEL研究スペースに参集されDEL実生産を担当されているJ-MODDEL研究者の方々、東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構および同構造展開ユニットメンバーに非常に多くの情報提供をいただきました。情報提供いただきましたすべての皆様方に、この場をお借りして感謝申し上げます。宮地弘幸(みやち ひろゆき)1984年 東京都立大学大学院理学研究科修士課程修了同 年 株式会社杏林製薬入社2004年 東京大学分子細胞生物学研究所助教授2008年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授2011年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科副学部長2013年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科副研究科長2014年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科自然生命科学研究支援センター部門長2016年 東京大学創薬機構構造展開ユニット特任教授2024年 東京大学大学院薬学系研究科附属創薬機構構造展開ユニット特任研究員(現在に至る)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan
元のページ ../index.html#24