MEDCHEM NEWS Vol.34 No.2
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NCINCltBuO-ClNHtBuO-ClNHNHOROOROOROOOOONNN+NOTCCA15%3. N-クロロ化を経由するデヒドロアミノ酸導2. アミドのN-クロロ化を強力に促進する触媒94N-クロロ化による主鎖アミドの活性化MePhthNCO2MeMe0%従来の変換法:Cys、Lys、Tyr等の反応性側鎖が必要高い一般性今回考案した変換法:理論上どのような残基にも利用可能図1  N-クロロペプチド法のコンセプト収率図2  ジペプチドを基質としたN-クロロ化条件のスクリーニングN-クロロペプチドconditionsPhthNMeCN, rtClClCl側鎖官能基の変換高い特異性の反面低い一般性キヌクリジン(触媒量)高反応性N-Cl結合を利用した変換精製・長期保存可能FGMeCO2MeMe92%条件で進行するという報告2,3)に着目し、同様の条件でペプチド主鎖のアミドも円滑に変換できるのではないかと考えた。また、得られたN-クロロペプチドの高反応性N-Cl結合が近傍での化学変換の足掛かりになると期待し、検討を開始した。 筆者らはまず、N末端がフタロイル(Phth)保護されたジペプチドを用いて、アミドのN-クロロ化が期待どおり進行するか検討した(図2)。上述のように単純な基質で報告例のあった次亜塩素酸t-ブチル(tBuOCl)やトリクロロイソシアヌル酸(TCCA)を作用させたが、TCCAを用いた場合のみ反応が進行するものの、反応性が十分でないためか低収率に留まった。その後、さまざまな市販の求電子的クロロ化剤を検討したが、いずれもTCCAを上回る結果は得られなかった一方で、触媒量のキヌクリジンをtBuOClに添加することで劇的に反応が加速されることが明らかとなった。本反応は水系溶媒中でも問題なく進行し、得られたN-クロロペプチドはシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製・単離で き、長期保存に耐える程に安定であることも判明した。 上記の検討によって、N-クロロペプチドの調製法を確立したので、その変換法についても検討を開始した。N-クロロペプチドの結晶構造を見ると、塩素原子とアラニンα位の水素原子がほぼアンチペリプラナーの関係にあり、適切な塩基を作用させることでβ脱離と続く二重結合の異性化が円滑に進行し、異常アミノ酸の一種であるデヒドロアミノ酸(ΔAA)構造へ簡便に変換できると期待した(図3a)。検討の結果、キヌクリジンのような架橋された第三級アミンを用いることで所望の反応が円滑に進行し、N-クロロ化段階とのワンポット反応にも成功した。本プロトコールによりさまざまなアミノ条件の発見4)入法の実現と大環状ペプチドへの応用4)

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