MEDCHEM NEWS Vol.34 No.2
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OSNOR'27(R = Me, R’= H)28(R = propargyl, R’= H)29(R = propargyl, R’= 2-nitrobenzyl)OSNORNHAISNNOOCOONONOONNONNNBR DE(A)Hsp90阻害剤およびプローブの構造。(B)アルキンプローブによるSK-BR-3細胞の蛍光ラベル化。(C)27によるHsp90の不可逆阻害。(D)27とHsp90-NTDの共有結合複合体の結晶構造(解像度2.35Å)。(E)光ケージドプローブ29による生細胞内Hsp90ラベル化の光制御。FOSONHNHFOSONHNHOSMD09psH09psH6252423222HONSONHH2NOSMD91図3  Hsp90阻害剤への応用Probe(1μM, 3h)22(μM)25(μM)2928−−+50-37-25-SK-BR-3cellsPU-H71208)229)25(R = H)26(R = Me)PU-H71 or27(1μM)37℃, 1.5h1. PBS wash (10min×4) 2. Incubated in fresh mediumPU-H71036912036912NNPhOSNOSOHN219) 23Lysis, WB27Time afterwashout(h)Hsp90pAKtGAPDHkDa150-100-75-50-2437-25-kDa150-100-75-50-37-25-UV(365nm)150-100-75-kDaLys58中のいずれにおいても付加生成物は観察されず、CNSはアミンとのみ安定な付加体を形成した。以上のように、CNSは高い水中安定性と、化学選択的でチューニング可能なアミン反応性を兼ね備え、リジン標的反応基として優れた化学プロファイルを示した。4. コバレントドラッグへの応用 CNSのリジン標的反応基としての有用性を明らかにするため、熱ショックタンパク質90(heat shock protein 90:Hsp90)阻害剤への応用を検討した。Hsp90はATPを消費してタンパク質のフォールディングを助ける分子シャペロンで、腫瘍の増殖に関わるさまざまなタンパク質を安定化することから、抗がん剤の標的として注目されている。アデニン骨格の阻害剤PU-H71は、N末端ドメイン(NTD)のATPポケットに可逆的に結合する。この近傍のLys58を狙い、PU-H71の骨格にアミン反応基を導入したコバレントHsp90阻害剤が報告されている8,9)。 筆者らも、PU-H71の構造に基づいて図3に示すプローブを合成し、SK-BR-3細胞の蛍光ラベル化を行った。その結果、CNS 24と25で、既報9)のスルホニルフルオリドプローブ22と同じ分子量の位置にHsp90に相当する蛍光バンドが観察された(図3B)。特に25は、22と比べ高効率・高選択的に生細胞内のHsp90をラベル化した。25を阻害剤として構造最適化し、CNS 27を得た。Hsp90が阻害されると、Her2などのクライアントが不安定化し、下流シグナルであるAktのリン酸化が抑制される。実際にPU-H71または27でSK-BR-3細胞を処理すると、Aktのリン酸化レベルが顕著に低下した(図3C)。一方、PBSで洗浄して阻害剤を除き、新たな培地中でさらにインキュベートしたのちに評価すると、PU-H71ではAktリン酸化レベルが回復したのに対し、27は洗浄後12時間でも低いリン酸化レベルを維持

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