MEDCHEM NEWS Vol.34 No.2
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gmgμ()nm(ES±naemSL)Lmgn(D-PSmureSeussit nega// 3i 02468lloC##PlaceboMT-7117 100mgMT-7117 300mg##ITT=intent-to-treatLS=least squareLSMD=least square mean difference.78図6  化合物9(MT-7117)のBLM誘発強皮症モデルにおける皮膚コラーゲン産生抑制作用(左)および肺炎症抑制作用(右)図7  化合物9(MT-7117)のEPPおよびXLP患者を対象とした第2相臨床試験Compound(p.o.)(d 0 to 28)0.030.3vehicleMT-7117BLMWeek****3(mg/kg)****SP-D: Surfactant Protein D##p<0.01 for BLM vs. PBS using Student’s t-test; **p<0.005 for BLM vs. MT-7117 using Williams’ test.C3H/HeN miceDaily injection of BLM(s.c.)(d 0 to 25)femaleDay 0)120110100908070vehiclePBSChange from baseline in average daily time (minutes) to first prodromal symptom associated withsunlight exposure (ITT analysis)1009080706050403020100Day 29Sacrificed assay1012141400120010008006004002000vehiclePBSvehicle82.7min74.0min20.2min16100mgLSMD(SE):53.8(19.8)minP=0.008300mgLSMD(SE):62.5(20.1)minP=0.0030.30.03MT-7117BLM5. 化合物9(MT-7117)の臨床試験 EPPやXLPはプロトポルフィリンIXが蓄積する遺伝性希少疾患で、日光にあたることで3〜7日持続する灼熱痛を伴う。そのため、患者さんは生涯にわたり遮光した生活を余儀なくされ、QOLが著しく低下する。MT-7117のEPPおよびXLPに対する第2相臨床試験として、プラセボ対照の16週間連続投与を実施した。その結果、日光暴露による疼く、刺す、または灼けるような最初の前駆症状が発現するまでの時間を有意に延長し、患者さんにおけるProof of Conceptを取得することができた(図7)11)。MT-7117(dersimelagon phosphoric acid) は、世界初の経口MC1R作動薬として米国FDAよりオーファンドラッグ指定を受け、2024年4月現在、国際共同第3相臨床試験を実施している。また、SScに対しては2021年3月より第2相臨床試験を実施中である。6. おわりに スクリーニングヒット化合物からの最適化の試行錯誤を重ね、「カルボン酸の導入」「フッ素原子の導入」「三級アミド化合物への変換」の3つのブレイクスルーにより、経口剤MT-7117の創製に成功した。冒頭で述べたように、化合物の最適化はときに矛盾を成立させるプロセスであり、それは「果たして自分の進む先に正解はあるのだろうか」という自分への問い(不安)との闘いでもある。理論的な構造展開を進めつつ、一方で冒険的に「やってみよう」という精神もまた大切にし、粘り強く誘導体合成をやり抜くことで、長きにわたる問いに対する一つの回答を見出すことができた。

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