カール・ダイセロス著 大田直子訳68AUTHOR参考文献 1) 「再生医療の実用化・産業化に関する報告書 最終取りまとめ」(平成25年2月 経済産業省 再生医療の実用化・産業化に関する研究会) 2) 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号) 3) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(平成26年11月27日法律第122号) 精神活動は神経活動により引き起こされており、神経活動の調和が乱れれば、「こころ」を病んでしまう。しかし、もし神経活動を人為的に制御できるのであれば、「こころ」の病も治療が可能になると考えられる。著者のダイセロス博士らは、神経活動を“光”によって操作できる画期的技術を開発し、社会的行動障害の誘発と回復が可能であることを、マウスを用いて実証した。この技術は光遺伝学という新たな学問領域を形成し、さまざまな高次脳機能の仕組みが次々と解明されている。 本書は、この革命的技術開発を成し遂げたダイセロス博士が、精神科医として、また、一人の人間として、「こころ」の病に苦しむ患者達と交わした対話の記録である。読者はダイセロス博士の思考を通じて、患者達の非現実的な壊れた「こころ」の世界に引き込まれていく。治療困難な患者達と削減や、また培養作業での直接労務費の削減ができ、最終製品の価格を下げることが可能となった。再生医療の実用化への第一歩を踏み出せたものと考える。光文社/四六判/344ページ・定価2,420円(税込)(2023年1月) 4) 生物由来原料基準(平成26年9月26日制定(厚生労働省告示第375号)) 5) 再生医療分野 ヒト細胞培養工程の操作手順変更における互換性確認に関するガイドライン2015(平成27年3月 経済産業省)向き合うことは博士をたびたび絶望させるが、博士の強い情熱により治療の糸口を求めた科学的考察が行われる。一方で、患者視点による夢の中のような世界の有り様、さらに、第三者視点による博士と患者の複雑に絡み合った関係性も描かれる。博士独自の文学的表現も加わり、めまいがするような壊れた「こころ」の空間に読者は誘い込まれるであろう。我々がもつ「こころ」とは一体何なのか? 博士の深い洞察により、「こころ」の本質的な側面に鮮やかに“光”が当てら れ、読者を「こころ」が進化してきた悠久の時間を俯瞰する視点へと誘ってくれる。小池哲央(こいけ てつお)薬学修士1982年 岐阜薬科大学大学院修士課程卒業同 年 ロート製薬株式会社入社2003年 製品開発部部長2007年 研究開発本部副本部長2013年 再生医療研究企画部副部長体性幹細胞 体性幹細胞とは、人のからだの中にある幹細胞で、からだのいたるところに存在し、さまざまな種類があり、限られた複数種類の細胞に分化できる細胞である。骨髄に存在して赤血球や血小板、すべての免疫細胞に分化する造血幹細胞や脂肪組織、歯髄、胎盤などの組織に存在して脂肪細胞や血管の細胞、軟骨細胞、骨細胞等に分化する間葉系幹細胞、小池哲央(ロート製薬株式会社)脳内に存在して神経細胞等に分化する神経幹細胞等がある。 Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of JapanCopyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan本田 岳夫(岐阜薬科大学 生体機能解析学大講座 分子生物学研究室)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan最新「光遺伝学」と人間の脳の物語用語解説紹介「こころ」はどうやって壊れるのか
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