α/βアゴニストβ受容体β受容体α受容体α受容体HNHNHNHNHNHNc)ADとIPTのα両受容体への結合a)b)c)図2 a)アドレナリン(AD)とイソプロテレノール(IPT)の構造、b)ADとIPTのβ両受容体への結合、アドレナリン(AD)立体障害に基づくサブタイプ選択性投与代謝排泄薬物動態学図3 薬物動態学、薬理学と創薬化学薬が投与されて、標的部位近傍へ移行し消失する過程を薬物動態学が、薬が標的分子へある作用を及ぼした後に生ずる事象を薬理学が扱う。創薬化学はその間に位置する薬と標的分子との相互作用を扱う。イソプレテレノール(IPT)β選択的アゴニスト創薬化学分布薬物−標的分子相互作用有機化合物間相互作用薬 理 学薬理活性OHHOCH3HOOHHOCH3HOOHHOCH3HOOHHOHOCH3HCCH3OHCH3HOHCCH3HOOHHOCH3HC立体障害HOCH345分子との相互作用に基づき、解析・理解する。 標的分子はタンパク質や核酸といった有機高分子であるので、薬と標的分子との相互作用は有機化合物同士の相互作用である。したがって、その相互作用の理解は、有機化学を原理として、考察・理解すべきである。上述の薬理活性を化学構造から理解することは創薬化学の主題である(図3)。したがって、有機化学のみならず創薬化学も薬学に必須である。4. 薬物動態学、薬理学と創薬化学 薬学教育において、薬が生体に投与されて効果を発現する過程を、従来、薬物動態学と薬理学で説明・理解してきた。薬が投与されて、標的部位近傍へ移行し消失する過程を薬物動態学が扱い、薬が標的分子へある作用(酵素阻害、受容体活性化あるいは阻害など)を及ぼした後の事象を薬理学が扱う。しかし、薬の標的分子へ作用自体を薬理学は扱わない。 ある薬物Aがアロステリックに酵素を阻害するとき、Aがアロステリック阻害する機序・理由、あるいは薬物Bがある受容体のアゴニストであり、薬物Cがアンタゴニストであるとき、BがアゴニスストでCがアンタゴニストである理由は、薬理学では扱わない。薬理学においては、アゴニストBが、Aがアロステリックに酵素を阻害した場合に、あるいは、アゴニストBやアンタゴニストCがある受容体に作用すると、それぞれ生体に何を引き起こすか(薬力学的効果)しか考えない。薬が標的分子へ作用する原理は創薬化学の主命題である。新しい薬の設計・創出を目的とする創薬化学においては、Aがアロステリック阻害剤である理由を、BがアゴニストでCがアンタゴニストである理由を、その化学構造から標的
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