MEDCHEMNEWSVol34No1
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g(m/zm/z XXX) 値poLAB8642/1268A)酸化脂質サンプル(O)と非酸化脂質サンプル(N)をLC/MSにて測定し、O/Nが2以上のものをピッキングし、その後、LC/HRMS/MS解析にて酸化脂質のデータベースを構築。B)高脂肪食給餌マウス肝臓中で変動する酸化脂質。トリグリセリド由来ラジカルが高脂肪食給餌1週間で有意に上昇した。4. 脂質ラジカルをターゲットとした 非酸化脂質サンプル(N)酸化脂質サンプル(O)通常食群と高脂肪食群との比較図2  酸化脂質のノンターゲット構造解析候補となる酸化脂質解析データベース−4−2TG16:0_18:1_18:2;O2TG 16:0_18:1_9:1;O04Log2(変化量)LC/MSLC/HRMS/MSO/N≧2.0OxidizedOxidizedLipidsLipidsOxidizedLipids32来酸化脂質(oxPCs)を155種類検出した7)。そのうち、103種のoxPCは、これまでに報告のない新規のものであった。また、酸化型PC16:0/PUFAの構造情報をもとに、酸化型PC18:0/PUFAおよび酸化型PC18:1/PUFAの構造として、最終的に465種のoxPCsのMS/MSライブラリーを構築した。 さらに、本手法を検証するために、アセトアミノフェン投与肝障害モデル動物を用いて解析したところ、肝臓中で70種類のoxPCsを検出することができた。さらに、アセトアミノフェン投与後の時間によって、生成するoxPCsの種類および量は大きく変動していた。また、oxPCsの生成部位を評価するために、質量イメージング(MALDI-MS/MS/MSI)と18O含有空気(N2 79.5%、18O2 20%、CO2 0.5%)をうまく組み合わせることで、動物生体内で生成しているoxPCsの質量イメージングに成功した。実際に、酸化リン脂質の生成部位は、アセトアミノフェンの代謝酵素であるCYP2E1の高発現部位と非常によく一致していた。 上記解析法は、oxPCsのみならず他のリン脂質や脂質にも応用可能である。例えば、コリン欠乏メチオニン添加高脂肪食(CDAHFD)摂取マウス肝臓を用いて解析したところ、中性脂質であるトリグリセリドの酸化物(oxTGs)が、CDAHFD給餌1週間時点で有意に増加していた(図2)8)。このとき、酸化リン脂質の増加は検出できていない。また、ビタミンEの投与により、これらoxTGsの生成は顕著に減少した。さらに、脂肪滴と膜成分を分離し、各画分の酸化脂質生成を評価したところ、脂肪滴中にoxTGsが蓄積していた。このoxTGsがCDAHFD給餌の早期に生成し、かつ脂肪滴に蓄積することの意味は現時点では不明であるが、オルガネラとの相互作用や肝障害との関わりを理解するうえで、重要な知見の一つとなるかもしれない。 上記までで、脂質ラジカルあるいはその代謝産物である酸化脂質の検出・構造解析手法を構築でき、実際に疾患モデル動物でも生成していること、さらに脂質ラジカル検出プローブ自身が疾患発症を抑制できることがわかった。すなわち、ある種の疾患には脂質ラジカルの生成がその発症原因となっている可能性を示唆するもので化合物スクリーニング系の構築

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