T1 = 48 s(H2O, 11.7 T)[15N,D14]TMPAT1 = 1128 s(D2O, 14.1 T)[15N,D9]TMPAT1 = 816 s(D2O, 14.1 T)T1 = 795 s(D2O, 9.4 T)OM.W. : 583D3CD3CNHaDDDDDbOODDDDDDD11OOOONNOHNNHH2ND3CD3COCOM.W. : 310OC2∆σ2(3 + η2)τ2 (式3)2ℏ22B03. 酵素反応性を制御した分子プローブ2γCr6 γCMolecular weight(M.W.)13C-GSH(γ-Glu-Cys-[1-13C]Gly-d2)T1 = 52 s(D2O, 9.4 T)13C-β-casomorphin-5T1 = 20 s(D2O, 9.4 T)CD3CD3CD3DCD3CD3CarboxylesteraseCD3CD3OHCD3CD3100200300400500600[1-13C]PyruvateDetection of GGT activity in vivoDetection of DPP-IV activity in vivoSHHNHONH2HOOHDDOHDD15N15NT1DDT1CSA ここで、γは原子核の核磁気回転比、ℏはディラック定数、rは1H核と13C核の距離、τ2は回転相関時間、B0は外部磁場の強さ、Δσは化学シフト異方性、ηは非対称パラメータである。τ2は分子回転に相関するパラメータであり、核スピンの運動性、より一般的には分子サイズに伴って変化することが知られている。式2と式3に示されるように、DD緩和とCSA緩和はそれぞれτ2に相関する。また、大きな分子は分子内の1H核の数が多く、DD緩和が大きくなる傾向にある。以上より、一般に大きな分子はT1が短いことが知られている。このような背景から、分子量が200以上の分子は、T1が短く、生体応用が困難だと考えられてきた14,15)。 筆者らは、生理学的・病理学的に重要な役割を果たす15N15N131327図2 (a)TMPA骨格の分子構造、(b)エステラーゼプローブの酵素反応スキーム = γH = 215図3 13C標識DNP-NMR分子プローブの分子量と分子構造2-2.13C標識DNP-NMR分子プローブ 15N核は長いT1を示すという点で有用であるが、感度が低いゆえに生体応用は困難である8)。実際、[1-13C]ピルビン酸をはじめ、生体応用されているDNP-NMR分子プローブのほとんどが13C標識分子プローブであ る14,15)。よってT1が長い13C標識分子プローブの設計指針を開拓することは、より実用的な分子プローブの開発につながる。13C標識小分子における主要な緩和機構であるDD緩和とCSA緩和は、それぞれ以下のように表される(式2、3)16)。 τ2 (式2)ペプチドに着目し、分子サイズの大きなオリゴペプチドにおいても長いT1を示す分子設計を行った17)。ペプチドのC末端に位置する[1-13C]Gly-d2は、分子量が増大しても比較的長いT1を保持するという点に着眼し、γ-Glu-Cys-[1-13C]Gly-d2(13C-GSH)を設計した。GSHは、酸化ストレス応答や薬剤耐性に関わる分子であり、その代謝を検出することは、酸化還元機構の解析や病態診断において重要である。13C-GSHの分子量は300を超えるが、T1=52 s(D2O, 9.4 T)という十分に長い値を示した(図3)。さらに、超偏極した13C-GSHをマウスに尾静脈投与したところ、生体内γ-glutamyl transpeptidase(GGT)活性の検出に成功した。また、分子量583のペンタペプチド13C-β-casomorphin-5(T1=20 s, D2O, 9.4 T)も同様の設計指針に基づいて開発することで、生体内dipeptidyl peptidase Ⅳ(DPP-Ⅳ)活性を検出することができた(図3)。以上のよう に、オリゴペプチドのT1を長く保つ分子設計により、従来では困難とされてきた分子量200を超えるDNP-NMR分子プローブの生体応用を可能にした。 DNP-MRIで生体内の酵素活性を検出する際、高い標的選択性と速い酵素反応が必要である。ここでは、
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