angsdeziraoprepyHygrenE1)Long polarization lifetime2)Fast biochemical response3)Large chemical shift change4)High water solubilityOCOC[1-13C]Pyruvate[1-13C]Lactate1T1 筆者らは、式1に基づき、T1が長い分子プローブの設計・開発を行った。2. 超偏極寿命が長い分子プローブの設計Chemical shift(ppm)Chemical shift(ppm)Time(s)ProductThermally equilibrated stateDifference in spinoccupancy: smallHyperpolarized stateDifference in spinoccupancy: largeHyperpolarizationRelaxationabβαlliOOOProbeChemical shift(ppm)5)Biocompatibility6)Biostability7)High polarization efficiency + 1 + 1T1SC + 1T1SR + 1Me1313% polarizationMeOH26図1 (a)超偏極の概念図、(b)DNP-NMR分子プローブが生体内で機能するために求められる制約ビン酸は、[1-13C]乳酸への代謝率を指標に、複数のがんの診断薬として臨床試験が進行中である4~6)。しかしながら、[1-13C]ピルビン酸のように実用的なDNP-NMR分子プローブの種類が極めて少ないこと、新たな分子プローブを設計する指針が存在しないことが課題となっていた。DNP-NMR分子プローブが生体内で機能するためには、さまざまな制約、すなわち、1)長い超偏極寿命、2)速い生化学的応答、3)大きな化学シフト変化、4)高い水溶性、5)生体親和性、6)生体安定性、 7)高い偏極率を満たす必要がある(図1b)。筆者らは、上記の制約を満たすような緻密な分子設計により、新たなDNP-NMR分子プローブの開発を行ってきた。ここでは、特に超偏極寿命と酵素反応性に着目した分子設計について紹介する。 超偏極によって高感度化されたシグナルは、核スピンの縦緩和時間T1を時定数として指数関数的に減衰する。よって長いT1を有するDNP-NMR分子プローブは、超偏極寿命が長く、長時間のシグナル観測を可能にする。T1の緩和機構は長く研究されており7)、双極子-双極子相互作用(DD)による緩和、化学シフト異方性(CSA)による緩和、分子回転(SR)による緩和、スカラー相互作用(SC)による緩和、その他の要因(Other)による緩和の5つの要素に分解できることが知られている(式1)。2-1.15N標識分子プローブ骨格の設計 一般に、15N核は13C核と比較して核磁気回転比が小さいため、T1が長い8)。また、小分子における主要な緩和機構は、DD緩和、CSA緩和、SR緩和であるため、標識核近傍の1H核を排除した剛直な分子は、長いT1を示す傾向にある9~11)。この設計指針に基づき、筆者らは、[15N,D9]trimethylphenylammonium(TMPA)を開発した12)。この分子は、816 s(D2O, 14.1 T)という非常に長いT1を示し(図2a)、超偏極シグナルを30分以上観測することができた。[1-13C]ピルビン酸の超偏極シグナルの観測時間が数分であることを考えると、この時間は非常に長い。また、[15N,D9]TMPAに含まれるベンゼン環の1H核をすべて重水素置換することで開発した[15N,D14]TMPAは、1,000 sを超えるT1(1,128 s, D2O, 14.1 T)を示した(図2a)13)。さらに、ベンゼン 環に機能性官能基を導入することで、エステラーゼ、H2O2、Ca2+プローブを設計した。[15N,D14]TMPAを基盤としたエステラーゼプローブは、T1=795 s(D2O, 9.4 T)を示し、エステラーゼ活性を30分間リアルタイム検出することができた(図2b)。このように、TMPA骨格を基盤とすることで、超偏極寿命が非常に長いDNP-NMR分子プローブの開発に成功した。 (式1) = 1T1DDT1CSAT1other
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