MEDCHEMNEWSVol34No1
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NHHHOHHOHNNNS●ステム -sidone●ステム「-sidone」をもつ医薬品(日本名、開発企業、承認状況)19AUTHORを標的にした低分子化合物の開発事例に関する解説を依頼した。四重らせん構造等の非標準核酸構造が、さまざまな疾患に関与することが報告されているが、三好グループで展開している、細胞分子夾雑環境で安定化する核酸構造を明らかにする研究と、その核酸構造を狙った分子標的型光線力学療法薬剤開発は、新たな疾患克服戦略として非常に興味深い。 以上、本特集を通じて、さまざまな特長をもつ最新計測・検出技術の開発と、それらを活用した疾患ターゲットのライブ探索、コンパニオン診断技術としての活用、さらには低分子治療薬探索・開発への応用の最前線を知っていただくことで、我々が考える近未来の持続可能定義: antipsychotic with binding activity on serotonin (5-HT2A) and dopamine (D2) receptors (セロトニン(5-HT2A)およびドーパミン(D2)受容体に結合活性をもつ抗精神病薬)薬効分類:抗精神病薬1.Lurasidone(ルラシドン、住友ファーマ、2020年承認)2.Ziprasidone(ジプラシドン、Viatris、日本未承認/2001年米国承認) セロトニン(5-HT2A)受容体およびドーパミン(D2)受容体遮断作用を有する抗精神病薬を定義するステ ムとして「-sidone」がある。ステム「-sidone」はUSAN協議会が定義したステムであり、INN専門家協議は未だステムとして定義していない。ステム「-sidone」をもつ医薬品は、5-HT2AおよびD2受容体に親和性を示し拮抗作用を示す。非定型抗精神病薬に分類され、統合失調症の陽性症状および陰性症状に有効であるとともに、双極性障害における抑うつ症状の改善効果がある。 ステム「-sidone」をもつ医薬品として、日本ではルラシドンの塩酸塩(ラツーダⓇ)が承認されている。米国ではジプラシドンの塩酸塩(GeodonⓇ)も承認されているが、日本では未承認である。ルラシドンは、5-HT2A、5-HT7、D2受容体には拮抗作用を示すのに対して、5-HT1A受容体には部分作動作用を示す。ヒスタミン受容体やムスカリン受容体には親和性を示さない。統合失調症および双極性障害におけるうつ症状の改善を効能・効果として承認されている。ジプラシドンも、5-HT2AおよびD2受容体を遮断し、米国では統合失調症や双極性障害の治療に使用される非定型抗精神病薬である。しかし、日本では、2019年に国内第三相試験が失敗に終わり、開発が中止されている。性の高い個別化・精密医療像を、読者の方々と共有することができれば幸いである。Lurasidone(ルラシドン)宮田 直樹・中川 秀彦(名古屋市立大学)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japan浦野 泰照(うらの やすてる)1990年 東京大学薬学部卒業1995年 同大学院博士課程修了、博士(薬学)同 年 日本学術振興会特別研究員(PD)1997年 東京大学大学院薬学系研究科助手2004年 科学技術振興機構さきがけ「構造機能と計測分析」領域研究員(兼任)2005年 東京大学大学院薬学系研究科准教授2010年 東京大学大学院医学系研究科生体情報学分野教授(現兼務)2014年 東京大学大学院薬学系研究科薬品代謝化学教室 教授専門: ケミカルバイオロジー(生物有機化学、分析化学、医用化学)Copyright © 2024 The Pharmaceutical Society of Japanステム手帖-23

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