MEDCHEMNEWSVol34No1
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NHOOHNSNNNNONONOONNNOONNONNONFONONNNNHNRitlecitinibNH4. ファイザー社におけるメドケムデザイン5. 出会った大切な考えErvogastatAbrocitinibClesacostatCO2HNHDanuglipronCO2H14図1  ケンブリッジ研究所からの最近の成果文発表された(フェーズⅠまで)4)。 最近弊社が発表したperspective5)にあるように、弊社では、いかに必要以上の最適化を抑えて、ターゲットの作用仮説を臨床検証することのできる開発候補品(risk-balanced clinical candidates)を迅速に臨床試験に上げるかを最重要視している。この背景として、2015年から2019年の間に前臨床からフェーズⅡの臨床試験を完了した社内43プログラム中、最大の開発中止原因がターゲット由来(47%)、特に薬効不足が原因であることに起因している。 低分子薬の分子設計に関しては、hypothesis-driven molecular designを実践すべく、design hypothesis/objectives、design strategy/tactics、target moleculesを明確にし、プロジェクト内のデータやin silico pre-diction、artificial intelligence/machine-learning model、社内の各種分子設計ツールなどを駆使して優先順位を決め、合成、評価へと展開していく。これらの情報は、integrated design environment(IDE)6)に代表される社内プラットフォームを通じて、社内のすべてのプロジェクト間で共有される。このようにして迅速な最適化研究を可能にする環境が整っている。 研究所間の知識共有も活発に行われている。年1回開かれる社内シンポジウムでは、メドケム関連部署の発表者達が一同に集まり、プロジェクトの最新の成果や、プロジェクトの成功不成功に関わらず得られた教訓などを発表する。各研究所間で直接交流できる絶好の機会でもある。加えて毎月定期的に、創薬研究に関する様々なトピックについて議論する会議を通じて、project level、そしてdiscipline levelでのタイムリーな情報共有を行っている。創薬研究全般に関する社内教育に関しても力を入れており、basic/advancedと大まかに2段階のレベルに分けて、各分野の社内エキスパートによるインタラクティブな講義を行っている。 さて、designerの役割とはとよく聞かれるので、少なくとも筆者のグループ内で期待している役割を紹介する。メドケムチームリーダー、あるいはチームメンバーとして、メドケム戦略の構築、分子設計を担当し開発候補品へと導くのは役割の一つではあるが、それだけではない。それを核として、プロジェクトリーダーとして、関連部署のリーダー達とともにプロジェクト戦略を構築し成功へと導く役割(project leadership)、上述したbiology research unitと協力して新規ターゲット選定、ポートフォリオ戦略に貢献する役割(portfolio leadership)、あらゆるターゲットクラスに対して、ターゲットに対する最適なモダリティーを見出し、ヒット化合物同定戦略をリードする役割(hit-ID leadership)、次世代メドケミストの育成、創薬の将来に対し戦略的ビジョンを構築する役割(discipline leadership)などがある。また、弊社では積極的に論文執筆や学会発表をすることが奨励されており、筆者のグループ内でも論文執筆や学会発表を各自の年間目標に組み込むようにしている(実際執筆にコミットするのは大変であるが)。 弊社で創薬研究を楽しむ過程で筆者はたくさんの考えに影響され、それらを頭に刻み込んでいる。そのうちの

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