MEDCHEMNEWSVol34No1
10/56

5. 遺伝子細胞治療smeWG6. 新治療技術smeWGキラリティ制御革新的製造法革新的分析法キラリティ制御PB核酸有効性・安全性の高い革新的次世代核酸医薬図4  革新的次世代核酸医薬(INGOT)プロジェクトの全体構想図新しい構造の核酸医薬ポラノホスフェート(PB)核酸キメラ型固相大量合成キラリティ決定立体化学純度検定既存の核酸医薬モルフォリノ核酸などリン原子修飾短工程・液相大量合成精製・分析・評価革新的次世代核酸医薬毒性活性安定性生産コストスケール安全性品質管理既存核酸医薬の毒性軽減と活性向上革新的製造法による生産コストの削減安全性や品質管理の改善Innovative Next Generation of Oligonucleotide TherapeuticsINGOT10実施し、これらの講演会を受けて演者を囲んだ小グループでの議論を行った。 また先に触れたように、本smeWG活動の成果として、AMED研究開発事業(RNA標的創薬技術開発)に採択され、INGOTプロジェクト3)が開始されている(図4)。本事業の目的が達成されることで、国内企業による核酸医薬開発技術基盤の構築が期待される。 遺伝子細胞smeWGは、本研究会副会長の小野寺雅史氏(国立成育医療研究センター遺伝子細胞治療推進センター長)がリーダーとして活動を進めている。 遺伝子細胞治療は、CAR-Tをはじめとして近年国内外で広く開発され、急速に臨床応用が進んでいる。これまでの本WGの活動としては、わが国の遺伝子細胞治療開発をさらに加速するための方策を探るべく検討を進めてきた。遺伝子細胞治療の技術課題として、アデノ随伴ウイルス(AAV)の大量調製、臓器特異性ベクターの開発、遺伝子編集技術の3つの課題に着目し、課題解決にむけた取り組みとして「ベクターセンター」「T細胞センター」「遺伝子編集技術センター」を設立することの意義と可能性について調査検討を行った。また関連する規制、国内CMC状況、海外の取り組み(PaVe-GT:Platform Vector Gene Therapyなど)についても情報をアップデートしてきた。ベクター製造については、次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB)の遺伝子、細胞治療薬技術開発(GT)事業の取り組みについて情報交換を行い、今後の新規ベクター開発について意見を交わした。現在は、本テーマについては検討を中断している。 一方で次のテーマとして、DDSに着目して検討を進めている。DDSに着目したのは、特許などで権利が抑えられ、臨床応用状況でも欧米にかなり水をあけられている遺伝子編集技術に比べて、治療に用いる遺伝子を安定化して目的の部位に送り込むDDSについては、技術の多様性や改良の余地といった点で、わが国の優位性を築く機会があると考えたことによる。さらにDDSは、細胞遺伝子治療だけでなく核酸医薬などの他のモダリティにおいても重要性が増しており、技術的観点だけでなくレギュラトリーの視点からもモダリティ横断的な議論を進めようと考えている。 新治療技術smeWGは、北寛士氏(株式会社カネカ 幹部職)がリーダーとして、「新しい治療技術(モダリティ)とは何なのか? 何が新しいモダリティとなり得るのか?」という命題に答えるべく活動を進めてきた。その中で、新たなモダリティとしての分子種の発見や開発だけでなく、それを支援するAIなどのデジタル技術もモダリティの一部として捉えるべきであると考え、AIの医薬品研究開発への活用について検討を行った。具体的には、開発候補抗体のDNA配列決定からマスターセルバンク(MCB)決定までの期間を、AIを用いて短縮する可能性の検討や、参加メンバーAI企業のBiomy社

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る