MEDCHEM NEWS Vol.33 No.4
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 第38回創薬セミナー参加者の皆様からのアンケートによるご意見(https://www.pharm.or.jp/images/38th_comments.pdf)がご覧いただけます。 創薬セミナーの詳細についてはホームページ(https://www.pharm.or.jp/seminar/)をご確認ください。(アンケート集計結果)(創薬セミナートップページ)村田毅(中外製薬株式会社)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan207市するという素晴らしい成果を生み出した、その成功要因の振り返りを踏まえながら詳しくお話しいただいた。最後に、モジュラスの寺田央先生より、バーチャルスクリーニングを活用し、ペプチドリガンドの低分子化の成功例などを織り交ぜながら、プラットフォーム型創薬企業の現状と今後の展望などをご講演いただき、創薬セミナーのすべてのプログラムが終了となった。 最後に王子田創薬セミナー委員長から、すべての参加者の皆様へ、講演後の質疑や自由討論会は言うに及ばず、食事や談話会など、さまざまな所で対話や意見交換が活発に行われ、本セミナーを大きく盛り上げてくださったことに対して厚く御礼を述べられるとともに、「また近いうちに創薬セミナーでお会いしましょう」という再会への期待を表明し閉会となった。 冒頭にも述べたが、「第38回創薬セミナー」は久しぶりのオンサイト開催となった。自分をはじめとするほとんどの創薬セミナー委員は、オンサイト開催での創薬セミナー運営経験を持ち合わせず、行き届かない所があったのではないかと思う。その点、お詫び申し上げたい。講師の先生方や参加者との交流を 2023年度の創薬懇話会は、6月8日(木)から6月9日(金)の2日間にわたって、JR湯河原駅からほど近いニューウェルシティ湯河原(静岡県熱海市)で開催されました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年度は延期、2021年度、2022年度はオンライン開催であったため、4年ぶりの完全合宿形式での開催となりました。会場は湯河原温泉の中心にあり、温泉宿として温泉も楽しむことができました。参加者数は最終的には76名(大学関係者18名、会社関係・研究機関12名、学生41名、および講師5名、うち医薬化学部会員35名)となりました。多数のご参加、誠にありがとうございました。 本年度の創薬懇話会では、5つの招待講演と28件のポスター発表を行いました。5つの招待講演では、時代を先取りした製薬企業、ベンチャー企業のトップの先生方にご講演をお願いし、これからの創薬の方向を語っていただくことにいたしました。またポスター発表は、対面での発表形式で実施いたしま した。 第1日目は、3つの招待講演とポスター発表を行いました。小早川高先生(脳科学香料・ミロディアセラピューティクス・関西医科大学)には「先天的恐怖臭が誘導する人工冬眠・生命保護状態」についてご講演をいただきました。リガンド-受容体の概念を越え、治療効果を脳に誘導させるという新しい概念に基づく物質応用の話は、とても新鮮で多くの参加者の興味を引きました。手代木功先生(塩野義製薬)には、「SHIONOGIの感染症へのコミットメント ~世界に届ける強い意志がイノ通じて、何か1つでも次の創薬に繋がるかもしれない新しい気づきやアイデアの種を持ち帰っていただけたなら、委員一同、大感激である。 また、創薬セミナーでお会いしましょう!ベーションの源泉~」という演題で、コロナ下で会社をあげて新型コロナウイルス感染治療薬を創出するに至った経緯や、現在取り組まれているヘルスケアの未来像を力強く語っていただきました。若い参加者に大きな刺激となったばかりか、シニアの参加者にもリーダーシップとは何かを考えさせるご講演でした。北出幸夫先生(e-NA Biotec・愛知工業大)には「マイクロRNA医薬の開発:新モダリティとしての力量と早期実用化を阻むサイエンス以外の因子」についてご講演いただきました。早い時期から基礎研究を通じてマイクロRNA医薬の開発に着手し、大学発ベンチャーを起業され、医薬品として開発している経緯について、苦労話も含めてご紹介いただきました。イノベーションという言葉が叫ばれて久しいですが、日本で新しいことを行う障壁は以前より大きくなっているのではないかと危惧を覚えました。この3つの招待講演のあと、ポスター発表を行いました(写真1)。28件のポスター発表はどれも内容が優れ、活発な議論が熱心に行われ、発表時間が短く感じられるくらいでした。 2日目は2つの招待講演があり、加藤珠蘭先生(Gexval)から「Purposed to Repurpose® ~希少疾患にお薬を:ベンチャー挑戦のリアル~」という演題にて、ドラッグリポジショニングで小児希少疾患患者に治療薬を届ける使命感と、起業での苦労と人のつながりについてご講演いただきました。サイエンスとしても興味を引く話があり、また講演で述べられた人に説明するスキルの大切さは、研究者や学生・教員にも求められるもの記事「創薬懇話会2023 in 湯河原」開催報告

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