MEDCHEM NEWS Vol.33 No.4
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)u)u . .5..0silo0345..0.a(ecnecseroufl ThTa(ecnecseroufl ThT)u)u . .a(ecnecseroufl ThTa(ecnecseroufl ThT(f))u(e) .lirbfi f ta(ecnecseroufl ThTdoymanuomA000000196Fig. 2  (a)超音波によるβ2mモノマーのアミロイド線維形成誘導(US:ultrasonication、超音波照射)、 (b)血清によるアミロイド線維形成の抑制効果、(c)透析患者と健常者から採取した血清と(d)維持透析治療前後に採取した血清のアミロイド線維形成反応に対する効果の比較、(e)血清アルブミン濃度と形成されたアミロイド線維量の相関、(f)血清アルブミンによるアミロイド線維形成阻害7)(a)(c)透析患者健常者Time(h)透析患者健常者ALB(g/dL)(b)10(d)透析前透析後510Time(h)p = 3.2×10-13 Ctrl. ALB510Time(h)80006000400020001500010000500015000100005000With USWithout USp = 2.3×10-13200001500010000500030002000100080006000[Serum]= 0% 40000.3%1%20002.5%5%15%15152-4.血清アルブミンのアミロイド阻害機序 前述の実験結果において、アルブミンがβ2mのアミロイド線維形成を阻害する機構を詳細に分析したところ、Fig. 3(a)に示すように、アルブミンがβ2mのモノマーと結合し、複合体を形成する。その複合体の形成により、アミロイド線維の材料となる血中の遊離したβ2mモノマーの濃度を低減し、結果としてアミロイド線維形成反応が抑制されると考えられる。β2mとアルブミンの相互作用の解離定数は、KD~500μM程度であり、非特 異的な弱い相互作用であることが示唆されたが、アルブミンは血中に約40mg/mL(~600μM)と高濃度に存在するため、この重要な役割を果たすことができると考えられる。このような働きをするタンパク質は細胞外シャペロンなどと呼ばれ、他にもclusterin12)やα2- macroglobulin13)といったタンパク質もこの防御機構に関与する可能性があり、さらなる詳細な研究により、血清中のタンパク質恒常性ネットワークがどのようにアミロイド線維形成反応を効率的に阻害しているかを明らかにすることができれば、アミロイド線維形成の予防戦略を打ち立てるために重要な知見となるであろう。また、アミロイドーシスは加齢に伴い発症するものが多いため、加齢に伴い、タンパク質恒常性ネットワークがどのように変容していくかを研究することが極めて重要と考えられる。

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