transducerltrasonctaDtaDaaUi195Fig. 1 (a)超音波キャビテーションによるアミロイド線維形成反応の加速機構10)、(b)超音波アミロイド誘導装置の外観図と(c)構成ユニットのブロック図8)(a)(b)SynthesizerSwitching unitUltrasonictransducerHeaterMicrophoneOpticalsystem(c)SynthesizerPCDigitizerOptical systemDigitizerAmplifierBurst signalAmplifierSwitching unitOptical fiberHeaterMicrophoneEx: 450 nmEm: 485 nm境はアミロイド線維形成が起きやすい、リスクの高い環境であることが示唆された。 さらに、28名の透析患者に焦点を絞った実験を行った。ここで検体を採取した28名の透析患者は、週3回・1回5時間程度の維持透析治療と呼ばれる治療を受ける。維持透析治療では、血液中の老廃物や電解質濃度を調整し、血液から体重の5%程度の水を除去する。ここでは、維持透析直前と直後に透析患者から血清を採取し、それらのアミロイド線維形成反応への影響の変化を比較した。結果をFig. 2(d)に示す。結果から、透析治療直前に採取した血清検体よりも透析治療直後に採取した血清検体の方が強くアミロイド線維形成反応を阻害することが明らかになった。このことから、透析治療は短期的にみると透析患者の血清環境におけるアミロイド線維形成のリスクを低減することが明らかになった。 血清を用いた一連の実験結果をまとめると、透析治療は、長期的にみると血清のアミロイド線維形成阻害能を低下させるが、一度の維持透析治療は、血清のアミロイド線維形成阻害能を改善することが示された。これらの結果についてさらに解析を進め、アミロイド形成実験の結果と血清成分濃度との相関を調べると、血清アルブミン(以下、単にアルブミン)の血清濃度が低下すると、アミロイド線維形成が起きやすくなることが示唆された(Fig. 2(e))。単離したアルブミンのみをβ2mモノマー溶液に加え、そのアミロイド線維形成に対する効果を調べたところ、アルブミンはβ2mのアミロイド形成を阻害する働きがあることが明らかになった(Fig. 2(f))。本研究で実験に用いた透析患者と健常者の血清中アルブミン濃度を比較すると、透析患者の血清において有意に低かった。血清中でアミロイド線維形成を阻害するアルブミン濃度が低下し、これが、長期透析患者において、血清のアミロイド線維形成阻害能が低下する原因であると示唆される。一方で、維持透析治療においては、先述のとおり、血液から体重の5%程度の水を取り去るために、透析治療直後には血清成分が濃縮され、一時的に血清アルブミンの濃度が上昇する。これが、短期的にみると透析治療が血清のアミロイド線維形成阻害能を高めた原因であると考察される。
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