183図3 NCC-149(1)類縁体のHDAC阻害活性評価NCC-169(6)NCC-170(7)NCC-171(8)NCC-172(2)IC50(μM)HDAC2>100>100>100>100>100>100HDAC80.0701.40.150.120.0530.22NCC-173(9)compoundsNCC-149(1)NCC-169(6)NCC-170(7)NCC-171(8)NCC-172(2)NCC-173(9)HDACs54>100>100>100>100>100HDAC138>100>100>100>100>100HDAC444>100>10040>100>100HDAC62.431147.82.27.2容易に構築できると考えた(図2B)。実際に、筆者らは、1次スクリーニングにおいて、15種類のCapアジドと 8種類のZBGアルキンを用いて、120化合物からなるライブラリーを、2次スクリーニングでは、1次スクリーニングの結果を基に1種類のZBGアルキンを選択し、31種類のCapアジドを用いた31化合物からなるライブラリーを構築した。なお、CapアジドとZBGアルキンは、マイクロウェルプレート上でDMSO溶液中、触媒量のCuSO4、アスコルビン酸ナトリウム、tris[(1-benzyl-1H-1,2,3-triazol-4-yl)methyl]amine(TBTA)存在下、24~72時間反応させ、TLCおよびLC-MSにて出発物質の消失とトリアゾールの生成を確認した。 クリックケミストリーを用いて構築したライブラリーに対して、化合物を単離・精製することなくHDAC8阻害活性評価を行い、スクリーニングした。なお、系中に残存するCu(I)やアスコルビン酸、TBTAは、HDAC8阻害活性評価に影響を与えないことを確認している。スクリーニングの結果、NCC-142(5)とNCC-149(1)が高いHDAC8阻害活性を有していることが示唆された。そこで、NCC-142(5)およびNCC-149(1)を再合成、精製し、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8およびさまざまなHDACアイソフォームを含むHeLa細胞の核抽出液に対する阻害作用を評価した(図2C)。その結果、NCC-142(5)およびNCC-149(1)は、既存のHDAC8阻害薬PCI-34051よりも強力なHDAC8阻害活性を示した。さらに、vorinostat(4)がHDAC8よりもHDAC1、HDAC2、およびHDAC6を強く阻害したのに対し、NCC-142(5)およびNCC-149(1)は、他のアイソザイムよりもHDAC8を選択的に阻害することがわかった。このように筆者らは、高活性かつ選択的なHDAC8阻害薬としてNCC-142(5)およびNCC-149(1) を見出した。3. NCC-149(1)の構造最適化による NCC-172(2)の創製 上述したクリックケミストリーによるライブラリー構築法では、その性質上トリアゾール化合物しか評価できない。そこで、最も活性の高かったNCC-149(1)のトリアゾールリンカー部位の構造最適化を行った。NCC-149(1)のトリアゾール環をさまざまな芳香環に変換したNCC-169(6)、NCC-170(7)、NCC-171(8)、NCC-172(2)およびNCC-173(9)を設計、合成した(図3)。合成した化合物について、HDAC1、HDAC2、HDAC4、HDAC6、HDAC8に対する阻害活性を調べた(図3)。NCC-149(1)のトリアゾール環をフェニル環に置換した化合物NCC-169(6)は、HDAC8選択性を示すものの、その阻害活性はNCC-149(1)に比べ約20倍低かった。一方、NCC-170(7)、NCC-171(8)、NCC-172(2)およびNCC-173(9)はHDAC8を強く阻害した。中でも、NCC-172(2)は、NCC-149(1)よりも優れたHDAC8阻害活性・選択性を示した。これらの結果は、五員環ヘ
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