>100>100>100>100>100(A)既存のHDAC阻害薬の基本構造。(B)トリアゾールライブラリーの構築とHDAC8阻害活性評価によるスクリーニング。 (C)ヒット化合物の構造およびそのHDACに対する阻害活性。182図1 HDAC8選択的阻害薬の同定、構造最適化およびPROTACへの応用図2 クリックケミストリーを活用したトリアゾールライブラリー構築とHDAC8阻害活性評価 NCC-149(1)IC50(HDAC8):0.070μMトリアゾールライブラリーからの同定(A)LinkerVorinostat(4)(C)NCC-142(5)NCC-149(1)構造最適化アジド化合物アルキン化合物m個アジドーアルキン連結体(トリアゾール体)クリックケミストリーn個PROTACへの応用NCC-172(2)Cu+HDACs0.17m×n個PROTAC 3cHDAC8阻害活性評価(単離・精製なし)HDAC4>10>100>100HDAC60.219.31.1442.4IC50(HDAC8):0.053μM(B)compoundsVorinostat(4)PCI-34051>100NCC-142(5)44NCC-149(1)54DC50:0.702μMHDAC8選択的分解誘導薬IC50(μM)HDAC1HDAC2HDAC80.270.781.50.310.10380.070築法を用いてHDAC8選択的阻害薬NCC-149(1)を同定し7)、さらに、構造展開することでNCC-172(2)8) を見出している(図1)。加えて、NCC-172(2)を基に、HDAC8 PROTAC 3cの創製にも成功している9)。本稿では、HDAC8に焦点を当て、その選択的阻害薬の同定、構造最適化ならびにPROTAC創製への展開に関する一連の研究について紹介する。2. HDAC8選択的阻害薬NCC-149(1)の同定 HDAC8選択的阻害薬は、既知のHDAC阻害薬の基本構造を基に、クリックケミストリーを利用してライブラリーを構築し、そのスクリーニングによって見出した。HDAC阻害薬の基本構造は、活性部位の亜鉛イオンと配位結合する亜鉛結合基(ZBG)、HDAC表面のアミノ酸残基と相互作用するキャップ構造(Cap)、そしてCapとZBGを連結するリンカーで構成されている (図2A)。たとえば、皮膚T細胞性リンパ腫治療薬として臨床的に使用されているHDAC阻害薬vorinostat(4) は、ZBGとしてヒドロキサム酸構造、Capとしてアニリド構造、それらをつなぐ直鎖アルキルリンカー構造から構成されている。このHDAC阻害薬の基本構造から、多数のZBGとCapの連結により化合物ライブラリーを構築し、そのスクリーニングを行うことで効率的にHDAC8阻害薬が見出せると考え、筆者らはクリックケミストリーに着目した。クリックケミストリーの主要な反応であるCu(I)を触媒としたアジド-アルキン環化付加反応(CuAAC)は、反応性・官能基選択性に優れ、操作が簡便であるという特徴を有する。そこで、m個のCapをもつアジド化合物とn個のZBGをもつアルキン化合物を準備することで、これらの組み合わせとなる、m×n個のHDAC阻害薬用フォーカストライブラリーを
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