江崎貴裕著164AUTHOR 6) Nakatani, K., et al., Nat. Chem. Biol., 1, 39‒43 (2005) 7) Peng, T., et al., Angew. Chem. Int. Ed., 44, 7280‒7283 (2005) 8) Nakamori, M., et al., Nat. Genet., 52, 146‒159 (2020) 9) Donnelly, C.J., et al., Neuron, 80, 415‒428 (2013)10) Matsumoto, J., et al., Chem. Eur. J., 26, 14305‒14309 (2020)11) Shibata, T., et al., Nat. Commun., 12, 236 (2021)12) Otabe, T., et al., Bioorg. Med. Chem., 27, 2140‒2148 (2019)13) Matsumoto, S., et al., Nucl. Acids Res., 46, 8079‒8089 (2018)14) Ni, L., et al., Chem. Commun., 58, 3629‒3632 (2022)15) Costales, M.G., et al., Cell Chem. Biol., 26, 1180‒1186 (2019) メディシナルケミストリーを生業としていて、データ分析と接点のない方はいないのではないだろうか。薬効試験や in vitro ADMETなどの結果が返却されてきたとき、次に合成する新規化合物のデザインの際など、得られたデータを分析する機会は多く、どのようにデータを解釈するかにより、進むべき方向は大きく異なってくる。 とはいえ、一言でデータの解釈といっても対象となる分野が幅広く、学ぼうと思っても「何から手を付ければよいのか」と躊躇してしまう方が一定数いるのも頷ける。私もその一人であり、これまで統計学の書籍や試験担当者、部署の先輩から学んできたが、入社時に本書が刊行されていれば、より体系的に学ぶことができて苦労も少なかったであろう。 本書では、各種のデータ分析手法をただ網羅するのではなソシム/A5判/282ページ・定価2,860円(税込)(2020年12月刊)く、データのバラツキやバイアスに関する基本的な知識やサンプリングの方法とその理論、データの解釈における認知バイアスや数理モデルのポイントなど、広い視点でデータの本質をとらえる技術が整理されており、かつ「入門」とあるように初心者向けに平易に解説されている。 メディシナルケミストはもちろんのこと、生物系の研究者、データサイエンティストを目指す方やまだ経験の少ない学生研究者、さらにはデータ分析について深く知りたいビジネスマンの方にもお勧めできる一冊である。中谷和彦(なかたに かずひこ)1982年 大阪市立大学理学部化学科卒業1985~1988年 米国コロンビア大学化学科研究員1988年 理学博士(大阪市立大学)1988年 財団法人相模中央化学研究所博士研究員1991年 大阪市立大学理学部助手1993年 京都大学工学研究科合成・生物化学専攻助手、助教授2005年~ 大阪大学産業科学研究所教授 現在に至る2015年~2018年 産業科学研究所所長2019年~2023年 大阪大学理事(財務・施設担当)・副学長バルジループ バルジループは、核酸の二次構造の一つで、二本鎖の片側に塩基が突出したループ状の構造を指す。一塩基が突出している場合には一塩基バルジとも呼ぶ。バルジループは何らかの構造を形成するが、その構造は安定ではなく動的に揺らいでいるため、低分子がループ内へ侵入できる(結合できる)可能性が生じている。特にRNAにおいては、ヘアピンループ、バルジループ、インターナルループ、シュードノットなどの二次構造が三次構造の形成に重要であり、RNAの機能と関連している場合が多い。いずれの構造も、一本鎖が折りたたまれる際の塩基配列の相補性に応じて、形成される構造である。インターナルループは、バルジループが両方の鎖の同じ場所に生じている構造で、両側のループが各一中谷和彦(大阪大学 産業科学研究所)塩基から構成される場合には、ミスマッチ塩基対と呼ばれる。 Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of JapanCopyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan松村 岳彦(田辺三菱製薬株式会社)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japanデータの本質をとらえる技術用語解説紹介分析者のためのデータ解釈学入門
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