MEDCHEM NEWS Vol.33 No.4
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(A)p<1×10−6HNOOOOOONNGGCOOOOObOaOOO0HNOUGGAAAAGGUAGGUAPO3ʼ 5ʼ 3ʼ 162(A)NNNHNN(A)circRNAは、pre-mRNAのバックスプライシング(灰色矢印)により生成される(点線は通常のスプライシング)。(B)イントロンにあるNCD結合サイトにNCDが結合すると、circRNAの生成量が5倍以上に増加した。(B)mCherryAUGAAAAAACUAA CGGmCherryAUG(B)5ʼ NCD図5  NCT8による-1PRFの誘導 (A)NCT8(NCDの二量体)。 (B) mCherryとEmGFPの間にNCT8が結合する配列を組み込んだレポータ遺伝子をHeLa細胞に導入し、細胞内でNCT8 依存的な-1PRFを確認した。図6  NCDによるバックスプライシングの活性化OPOOPOGUGANCT8RCMUGONHNN(CH2)8NNcircRNABPAAAGOHOPOAAGGUEmGFPNCT8GGCAAAAAACUAA CGG7.06.05.04.03.02.01.00.0p<1×10−6mCherryUAA(Stop codon)mCherry–EmGFPUAA0.513NCD5QCDμMによるアプローチが重点的に研究されている。一方、mRNAの翻訳領域に結合した低分子は、大抵の場合、リボソームなどにより除かれてしまうため、効果的な 翻訳制御にはつながらないと考えられる。筆者らは、mRNA上に準安定な二次構造が形成された際に翻訳の読み枠がずれる「フレームシフト」に着目し、低分子 の結合によるマイナス1リボソームフレームシフト (-1PRF)の誘導を試みた。まず-1PRFを誘導することが知られているシュードノット構造を、NCDの二量体NCT8依存的に形成するRNA配列を同定した。このNCT8誘導シュードノット配列をmCherryとEmGFPの間に挿入し、2つの蛍光タンパク質が-1アウトフレームとなるように設計したレポータ遺伝子系をもつプラスミドを作製した。この発現プラスミドをHeLa細胞に導入後、NCT8と共に培養し蛍光顕微鏡で観察した結果、EmGFPの発現量の増加、すなわち、-1PRFの誘導が確認された(図5)13)。この研究は、細胞内において低分子がmRNA上の二次構造の安定化に寄与できるこ4-3.環状RNAのアップレギュレーション 環状RNA(circRNA)は、pre-mRNAのバックスプライシング、すなわち、ブランチポイントアデノシン(BPA)の2ʼ-OHが、下流側の5ʼ-スプライスサイトを攻撃することにより生成する。circRNAの生成量ががんなどの疾患と相関があることが示されて以来、circRNAは重要なRNA標的と認識されている。circRNAを生成するバックスプライシングが効率的に進むには、環状化する2つのエクソンを挟むイントロンに存在する、部分的に相補的なReverse Complementary Match(RCM)間の相互作用が重要であることがわかっていた。低分子の結合によりRCM間の相互作用を増強すれば、circRNAのアップレギュレーションが実現できるのではと考え、NCDが結合するUGGAA/UGGAA配列をRCMに導入したプラスミドを作製した。このプラスミドをHeLa細と、さらには、リボソームによる翻訳過程に影響を与えることができることを実証した。

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