MEDCHEM NEWS Vol.33 No.3
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2-2.第2世代合成(数グラムスケール) 保護基の最適化やアミノ基を後から導入する手法などの改良により環化工程の収率は改善し、カップリング後E7130までの収率は第1世代の11%から42%まで向上した(図2(b))。本合成法により、各種非臨床試験に必て1.6mgのE7130を得ている(図2(a))。総工程数は市販の原料から109工程であった。創薬研究初期におけるinvitro、invivo試験に必要なE7130の供給には十分であったが、終盤の脱保護・環化工程が極めて低収率であることと、最終物からさまざまな不純物を除くためにHPLC精製が不可欠であることから、開発に向けてさらなる製法検討が必要であった。2-3.第3世代合成(GMP-1st製造) ハリコンドリン類の大量合成法の確立を目指し、Zr/Niケトンカップリング反応を用いてC37-C38間でカップリングする戦略を採用した(図2(c))10)。この戦略変更により、①右フラグメントの最長直線工程数が42工程から25工程へ大幅に短縮され、②左フラグメントの段階でC44位スピロケタール構造の構築が可能となった。カップリング後の構造変換がシンプルになったことで各反応はきれいに進行し、最終精製にHPLCではな要な用量設定(DoseRangeFinding;DRF)ロット製造や標準品製造を数グラムで実施できたが、依然としてHPLC精製が必要である点が課題として残った。133図1  ハリコンドリンBおよびE7130の構造(a)とE7130のGMP製造ルート(b)図2  E7130合成法の進化

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