F36NO7NO8NONOH2O(a)Fragment 3Fragment 4HDAC2 IC50:〜1 mMLE<0.27Phe155(b)Optimized fragment 6Fragment 5HDAC2 IC50:26μMLE 0.32His183(c)Early lead 8HDAC2 IC50:6.4μMLE 0.35LE 0.32Compound 12NH2HDAC2 IC50:110μMAsp104Phe210Compound 9NH2NHNHされたフラグメントヒットを参考にすることとした。エントランストンネルは2つのフェニルアラニン残基(Phe155とPhe210)によって形成されており、ポケットのこの部分にPhe側鎖に対してπスタックできる芳香環を導入すると結合親和性が向上するのではないかと考え、イソインドリンを導入した5)。その結果、このシリーズではじめてIC50値が1桁μMの阻害活性を示す化合物8を得た(図3c)。 さらなる化合物の最適化を目指して、エントランストンネル領域の探索を実施したが、イソインドリン部位の展開の自由度が低いことに加え、分子量や脂溶性などのプロファイルも中枢薬に向いているものとはいえなかった。そこで代替案として、ZincBinderと溶媒領域の間にピペラジンリンカーをもつ第2シリーズの化合物を開発した(化合物9)。ピペラジン環は、Phe155とPhe210に挟まれたエントランストンネルに位置しており、この部分のポケットは疎水性であることから、活性を維持した。タンパク質のエントランストンネルと溶媒領域におけるSARを系統的に探索するために、膨大な数のX線結晶構造から導かれたターゲット設計のアイデアと、合成するリガンドの構造多様性を最大化するためのパラレル合成を組み合わせた2本柱戦略にて合成展開を行った。その結果、芳香環のオルト位にニトリルなどの小さな置換基があると、これがAsp104の下の小さなポケットを充足するため、数μMで活性を示す化合物が多数確認された(図4,5)。さらに、芳香環のもう一方のオルト位に水素結合アクセプターを導入することで、タンパク質表面に存在する水分子のネットワークを形成するこ129図3 フラグメントヒットからアーリーリード化合物8までの展開図4 Compound 9、12のX線共結晶構造
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