(dersimelagon phosphoric acid)経口剤MT-7117Phase 3(EPP/XLP)、Phase 2(SSc)図2 アファメラノチドとMT-7117 不整脈リスクが大きくなる。また、脂溶性が高いほど、経口吸収性がよくなる一方で、代謝安定性の悪化やhERG遮断によるリスクが大きくなる。そのため、化合物の最適化では「あちら立てればこちら立たず」の状況に直面することがよくある。これらを両立させるためには、ときに矛盾を成立させるに近い試行錯誤が必要であり、そこには大きな生みの苦しみがある(図3)。3. カルボン酸化合物の取得 まず、社内スクリーニングから見出したヒット化合物1の活性向上を目指し、ベンズイミダゾール部位およびベンジル部位の変換を実施した(図4)。その結果、ベンズイミダゾールのベンゼン環は取り除くことが可能であり、ベンジル部位についてはベンゼン環のortho位に嵩高い置換基を導入することで活性が大きく向上することを見出した。一方で、モルホリノ基を有する2は代謝安定性が悪く、さらにhERG遮断活性も非常に強いことが判明した。これらの課題を克服すべく、脂溶性を下げるためにさまざまな極性官能基を導入した結果、イソニペコチン酸を有する3において、活性を維持しつつ、代謝安定性とhERG遮断活性も劇的に改善した。さらに、ベンジル位から見てpara位に置換基を導入することで活性が向上すること、特にトリフルロメチル基を有する4において強いアゴニスト活性と良好な代謝安定性を両立することを見出した6)。しかしながら、脂溶性が向上した4では再び強いhERG遮断活性を示した。123EPP:赤芽球性プロトポルフィリン症、XLP:X連鎖性プロトポルフィリン症、SSc:全身性強皮症。図1 MC1R作動薬の創薬コンセプトアファメラノチド皮下インプラント製剤上市(EPP)
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