MEDCHEM NEWS Vol.33 No.2
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1)フラグメント縮合 2)接触還元OONHONOOOONNSOOHN4. 核酸創薬プラットフォームの確立環状オクタペプチド(12)Fmoc-Phe1-Ala2-OH(1)Sar6Fmoc-Phe1-Ala2-Lys(Boc)3-MeLeu4-Thr(tBu)5-Sar6-OcHBS(8)NHPro7Fmoc-Phe1-Ala2-Lys(Boc)3-MeLeu4-Thr(tBu)5-Sar6-OH(9)NH2ClAc-OHClAc-Phe1-Ala2-Lys(Boc)3-MeLeu4-Thr(tBu)5-Sar6-Pro7-Cys(Trt)8-NH2(10)ClAc-Phe1-Ala2-Lys3-MeLeu4-Thr5-Sar6-Pro7-Cys8-NH2(11)Cbz-Lys(Boc)3-MeLeu4-OH(2)フラグメント縮合縮合KF処理(脱cHBS)TFAカクテルCbz-Thr(tBu)5-Sar6-OH(3)Cbz-Thr(tBu)5-Sar6-OcHBS(7)接触還元1)フラグメント縮合 2)脱Fmoc 環化環状オクタペプチド (12)Fmoc-Pro7-Cys(Trt)8-NH2(4)deprotectionH-Pro7-Cys(Trt)8-NH2(5)Lys3MeLeu4Thr5NH2OHNHNHAla2Phe1Cys8cHBS-H/TFMSA 57図3 環状オクタペプチド(12)の合成スキームリウムにて選択的に除去した。次に、ジペプチド(5)、クロロ酢酸を導入し、直鎖オクタペプチド保護体(10)を全工程カラム精製なくHPLC純度83.2%で取得した。得られた保護ペプチドの側鎖保護基をTFAにより脱保護し、水溶液中で環化後、得られた粗ペプチドをHPLC精製することで、目的とする環状オクタペプチド(12)を純度99%、全体収率73.5%で得た。 本合成では、最終精製時に除去困難となる類縁体の生成を抑制することを指向したルート構築を行うことで、目的物単離効率を上げることに成功している。従来法では前述の制限から、自由なルート構築が難しく、特定の夾雑物の生成抑制が難しいケースがあった。SYNCSOL®は無保護アミノ酸による原料コストおよび工程数の削減のみならず、精製効率の高い柔軟なルート設計を可能にして、製造原価の大幅な低減が期待できる。 核酸医薬品を新しいモダリティに分類することは少々躊躇いもあるが、近年の核酸ケミストリーの急速な進化により、承認品目が増加傾向にある。また、近年は肝臓や腎臓以外の臓器へのデリバリーを目指したリガンド結合型オリゴ核酸の研究開発が活発であり、オリゴ核酸を活性本体とする新しい分子構造が生み出されつつある3)。 当社は、2014年より国立大学法人東京工業大学と核酸創薬技術の開発を目的とした共同研究を実施してきた。本提携の成果として当社は、リボースの2ʼ位をN-メチル-カルバモイルエトキシ基としたMCEと呼ばれる修飾核酸の実施権を得ている4)。MCEアンチセンス核酸は、標的遺伝子に対する高いノックダウン活性を有したまま、生体において高いヌクレアーゼ耐性を示すとともに、ハイブリダイゼーションに依存しない、広義のオフターゲット毒性を低減する作用が期待されている5)。これは、高活性オリゴ核酸にしばしばみられる高い肝毒性を低減する可能性があり、配列選抜の選択肢を増やすと考えられている。また、当社は、従来のアンチセンス核酸とは異なる新しい分子構造を有する一本鎖化DNA/RNAヘテロ核酸(ss-HDO)の開発に取り組んでいる(図4)6)。これは、一本鎖の主鎖となるアンチセンス核酸(DNA)と一本鎖の相補鎖となるRNAをリン カーによって結合した核酸分子である。一本鎖化ヘテロ核酸の効果として、最も期待するところは、副作用の低減である。MCEと組み合わせて設計することで、従来の核酸医薬の治療可能領域を拡大することを期待して いる。また、CMC(Chemistry, Manufacturing and Controls)の観点においては高い安定性とアニーリング工程の省略を想定している。こちらもヘテロ核酸のCOGS低減に有利となるだろう。また、相補鎖RNAにリガンドを結合させることで、所望の臓器へのデリバリーも期待できる。このような、新規修飾核酸と新規核酸構造を組み合わせることで、当社独自の核酸構造を提供できると考えている。 核酸創薬プラットフォームを構築するアドバンテージ

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