AUTHOR下山進著83 7) Sato S., et al., Bioorg. Med. Chem., 27, 1110‒1118 (2019) 8) Sato S., et al., Chem. Commun., 54, 5871‒5874 (2018) 9) Sato S., et al., Bioconjug. Chem., 31, 1417‒1424 (2020)参考文献 1) Sillerud L.O, et al., Curr. Protein Pept. Sci., 6, 151‒169 (2005) 2) Davydova E., et al., Nat. Commun., 12, 891 (2021) 3) Leijten N.M, et al., Nat. Methods., 19, 827‒828 (2022) 4) Page C.C., et al., Nature, 402, 47‒52 (1999) 5) Rhee H-W., et al., Science, 339, 1328‒1331 (2013) 6) Sato S., et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 52, 8681‒8684 (2013) 超高齢化が進む日本では特に、認知症患者の増大は社会問題になっている。本書は、認知症の主たる原因疾患の一つであるアルツハイマー病(AD)の根本的治療に向けた研究の歴史を題材にした一般書である。 “老化に伴う物忘れ”程度にしか理解されていなかった認知症が、患者脳内にアミロイドβ(Aβ)の凝集体が所見される脳疾患であると明らかにされ始めた1980年代が描写された第1章から本書が始まる。ここから、平均寿命の高齢化に伴いADによる社会的問題が顕在化し、AD研究の緊急性が高まることと相まって一気に激化した研究が中心の内容となっている。具体的には、Aβ蓄積に関連する原因遺伝子の特定を皮切りにAβへの理解が深まることで、Aβを除去できる抗体の発見につながり、ついにヒト臨床試験の実施へと進んだ現在までの目覚ましい人類の成果の軌跡が記述されて応が生命科学研究において活用されることを期待する。謝辞 Tyr修飾研究の多くは、東京工業大学科学技術創成研究院 中村浩之教授のもとで行われたものであります。また、His修飾研究においては、東北大学生命科学研究科 石川稔教授のご助言を賜りました。質量分析では、東京工業大学科学技術創成研究院 田口英樹教授、丹羽達也助教にお世話になりました。多くの共同研究者と実験に携わってくれた学生諸君に深く感謝いたします。KADOKAWA/四六変形判/336ページ・定価1,980円(税込)(2021年1月刊)10) Depienne S., et al., Chem. Sci., 12, 15374‒15381 (2021)11) Tsushima M., et al., Chem. Commun., 58, 1926‒1929 (2022)12) Bausch M.J., et al., J. Org. Chem., 56, 5643‒5651 (1991)13) Lee J., et al., Nat. Chem. Biol., 6, 258‒260 (2010)14) Nakane K., et al., J. Am. Chem. Soc., 143, 7726‒7731 (2021)15) Nakane K., et al., ChemCatChem, 14, e202200077 (2022)16) Nakane K., et al., Int. J. Mol. Sci., 23, 11622 (2022)いる。 本書は専門用語に頼らず描かれたノンフィクションである点が大きな特徴である。すなわち、第三者目線で研究の事実が淡々と記されているわけではなく、実際の研究者の、ないし医師や患者の目線で実名や研究業績に言及しつつ描かれている。この構成ゆえに、AD研究史の概要を多角的に学ぶことができるだけでなく、「自身でADを征服したい」といういわば、薬学研究者としての使命感が駆り立てられる。ADの研究者のみならず、創薬研究に携わる多くの研究者にもぜひとも一読していただきたい。佐藤伸一(さとう しんいち)2006年 明治薬科大学薬学部製薬学科卒業2011年 東京大学大学院薬学系研究科博士後期課程修了 中根啓太(なかね けいた)2018年 群馬工業高等専門学校環境工学専攻修了2020年 東京工業大学生命理工学院生命理工学系ライフ博士(薬学)同 年 スクリプス研究所博士研究員2012年 学習院大学理学部化学科助教2014年 東京工業大学資源化学研究所助教2016年 東京工業大学科学技術創成研究院助教2020年より現在に至るエンジニアリングコース修士課程修了2020年 東北大学大学院生命科学研究科博士後期課程2022年 日本学術振興会特別研究員(DC2)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan澤㟢 鷹(和歌山県立医科大学 薬学部 薬品化学研究室)Copyright © 2023 The Pharmaceutical Society of Japan紹介アルツハイマー征服
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