MEDCHEM NEWS Vol.33 No.2
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72Figure 2  デコイ核酸型PROTACの分子デザインFigure 3  (A)各PROTACのERα分解活性、(B)リンカー構造の最適化LCL-ER(dec)が最も高い分解活性を示した(Figure 3A)。またLCL-ER(dec)は、転写因子を含む他のタンパク質(AR、AhR、p65、BRD4、p300、GAPDH、CRABP2、β-actin)を分解していなかったことから、ERαを選択的に分解することが明らかとなった。 次いで、LCL-ER(dec)の最適なリンカー長を検討するため、新たにPEG2リンカー体(LCL-ER(dec)-P2)、PEG4リンカー体(LCL-ER(dec)-P4)を合成し、ERα結合活性および分解活性をそれぞれ評価した。LCL-ER(dec)-P2、LCL-ER(dec)-P4は、IC50=30-50nMでERαに結合し、リンカー長の変化による顕著な結合活性の差は見られなかった。一方で、ERα分解活性では、PEG3リンカー体のLCL-ER(dec)が最も高い活性を示した(Figure 3B)。4. LCL-ER(dec)のERα分解メカニズム解析 最も高い分解活性を示したLCL-ER(dec)について、E3リガーゼ依存性評価、結合配列依存性評価、UPS依存性評価によりERα分解メカニズム解析を行った(Figure 4)。(A) E3リガーゼ依存性を評価するため、IAPへの結合活性を欠失させたNMeLCL-ER(dec)を設計・合成し、ウェスタンブロッティングにより評価した。その結果、NMeLCL-ER(dec)はERαを分解しなかったことから、LCL-ER(dec)はE3リガーゼであるIAP依存的にERαを分解していることが示唆された(Figure 4A)。(B) ERα結合配列の依存性を評価するため、3種類のscramble配列(LCL-Scrabl1-3)を設計・合成し た。LCL-Scrabl1-3はいずれもERαに結合せず (>3μM)、また、ERα分解活性を示さないことが

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