MEDCHEM NEWS Vol.33 No.2
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ONNN4N7ONN5N8NON6N9R1R1SteroidalSteroidalCavityCavityGly369Gly369IC5093 nM>10000 nM110 nM16 nMOHOH540 nM2.7 nMPocket under Pocket under Helix FHelix FHemeHeme66図4  リード化合物9の創出、および、化合物9とCH24Hとの共結晶構造フラグメント3は、小さい分子サイズながらもIC50=1900nMの阻害活性を示し、1)Heme鉄への配位、および、2)Helix F下方のポケットとの脂溶性相互作用により、効率的にCH24Hに結合していることが示唆された。次に、CH24Hとの多点での相互作用の獲得を目的として、CH24Hの結晶構造を精査したところ、3)活 性中心付近に存在する残基(Gly369、Ala474、heme propionate)との水素結合、4)コレステロールのステロイド骨格が結合する部位である空間(steroidal cavity)との脂溶性相互作用を獲得することで、さらなる活性向上につながることが期待された。これらの相互作用取得を目的とするリガンドとして、フラグメント3に、4-ベンジルピペラジン、または、4-ベンジルピペリジンがアミド結合した化合物群をデザインした(図3)。すなわ ち、ベンジル基とsteroidal cavityとの脂溶性相互作用、および、ピペラジンもしくはピペリジン環付近に導入したカルボニル基や水酸基と活性中心付近の残基との水素結合が獲得可能であると考えた。3. 化合物最適化研究 4-ベンジルピペラジン誘導体4(IC50=93nM)および4-ベンジルピペリジン誘導体7(IC50=110nM)は、フラグメント3と比べてCH24H阻害活性が大幅に向上し(図4)、ベンジル基とCH24Hのsteroidal cavityとの脂溶性相互作用の獲得が示唆された。水素結合の獲得を目的としてカルボニル基を導入したピペラジン誘導体5(IC50=>10000nM)および6(IC50=540nM)は活性が減弱した。一方で、水酸基を導入したピペリジン誘導体8(IC50=16nM)および9(IC50=2.7nM)は活性が大幅に向上した。化合物9のCH24HとのX線共結晶構造を解析したところ、期待どおり、化合物9では、3)Gly369との水素結合、および、4)steroidal cavityとの脂溶性相互作用が観測された。 これにより、CH24Hと多点での特異的な相互作用を有し、強力なCH24H阻害活性を示すリード化合物9を見出すことに成功した。一方で、化合物9はCYP3A4に対して10μMで67%の阻害活性を示した。薬物相互作用リスクを軽減するため、他のCYP酵素に対する選択性をさらに向上させる必要があると考えた。 はじめに、リード化合物9の4-アリールピリジン部位の構造活性相関を取得した(表1)。ピリジン環への置換基導入においては、2-メチル体10(IC50=>10000nM)および3-フルオロ体11(IC50=17nM)で活性が減弱したことから、ピリジン環窒素原子によるHemeとの配位やその配位能が重要であることが示唆された。また、2-メチル体10のCYP3A4阻害は化合物9とほぼ変化はなく、本化合物群は、CYP3A4とはHeme鉄との配位を介さない非特異的な結合により阻害活性を示していることが示唆された。続いて、ベンゼン環上の5’位メチル基の効果を検討した。メチル基の3’位への移動では活性が大幅に減弱したが、4’, 6’位への移動は許容し、Helix F下方のポケットは広く脂溶性置換基を許容することがわかった。一方で、5’位メチル基の他の置換基への変換 は、コンパクトな置換基(クロル、メトキシ、フッ素)をいずれも許容し、さらに、無置換体19(IC50=7.9nM)も強力なCH24H阻害活性を示した。興味深いことに、CYP3A4に対する阻害活性は、脂溶性の低下に伴って減弱し、無置換体19が最も良好なCYP選択性を示すことがわかった。この結果から、本化合物群においては、CH24Hに対する特異的な相互作用を維持しつつ分子全体の脂溶性を低下させれば、CYP3A4阻害活性をより減弱させることが可能であると考えた。 化合物19とCH24Hとの相互作用を維持しながら脂

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