NNON1NNON2NNO2NO3NXNON*IC50*IC50350 nM*Pocket under Helix F60 nM*Heme60 nM*Pocket under Helix FLeadGenerationHemePocket under Helix FHemeOHCF3MeOInitial SARCo-crystal analysisFragment Design1900 nM*Helix FHelix FAla474Ala474SteroidalSteroidalCavityCavityGly369Gly369HemeHemepropionatepropionateHemeHemeSteroidalcavityGly369Ala474Heme propionateOHorcarbonyl(X = CH or N)65図2 ヒット化合物1の構造、および、誘導体2とCH24Hとの共結晶構造図3 フラグメントデザイン、および、リード化合物創出デザイン種々の神経機能に関与することも明らかとなりつつある2)。CH24Hによって産生される24HCはN-メチル-D-アスパラギン酸(N-methyl-D-aspartic acid:NMDA)受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとしても知られ、グルタミン酸経路の活性化への関与が示唆されている3)。また、培養アストロサイトを用いた研究では、CH24Hの強制発現によりグルタミン酸の再取り込み機能が低下する現象が報告されている4)。これらの知見から、CH24Hは、脳の興奮性/抑制性バランスに関与する疾患を対象とした新たな創薬ターゲットになると期待される。しかしながら、CH24Hを強力かつ特異的に阻害する化合物の報告例はなく、他のCYP酵素に対し十分な選択性を有し、かつ、中枢移行性を有する阻害剤の創出が創薬研究における最大の課題と位置付けられた。2. 化合物創出戦略 CH24Hは、X線による結晶構造が報告されており、基質であるコレステロールサルフェート(cholesterol sulfate)やvoriconazoleなどの低分子化合物との共結晶構造も明らかとなっている5,6)。コレステロールやvoriconazoleなどの誘導体がCH24Hに対して結合能を有する一方で、これらの分子は多様なCYP酵素に非選択的に作用することが知られている。したがって、医薬品としてCH24H阻害剤を開発するうえでは、CH24Hに対する阻害活性を保持しつつも、他のCYP酵素に対する十分な選択性を有する化合物の創出が必要と考えられた。そこで、選択的CH24H阻害剤を新たに見出すための戦略として、ハイスループットスクリーニング(High Throughput Screening:HTS)による有望な シードの探索、および、X線共結晶構造解析技術を最大限に活用したStructure Based Drug Design(SBDD)による化合物デザインを計画した。 HTSの結果、ジヒドロピラゾール誘導体1(IC50=350nM)をヒット化合物として見出し、その後の構造活性相関研究により得られた化合物2(IC50=60nM)のX線による共結晶構造を取得することに成功した (図2)。化合物2はCH24Hと2つの鍵となる相互作用、1)ピリジン環窒素によるHeme鉄への配位、2)ピラゾール環上ジメチル基によるHelix F下方のポケットとの脂溶性相互作用を有することがわかった。構造活性相関研究においても、ピリジン環窒素原子とピラゾール環上ジメチル基はCH24H阻害活性に対して重要な部分構造であり、結晶構造解析の結果を支持した。 化合物2との共結晶構造で見出された2つの相互作用をより効率的に獲得するフラグメントとして、4-アリールピリジン誘導体3をデザインした(図3)。その結果、
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