MEDCHEM NEWS Vol.33 No.2
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2本鎖化DNAタグOOOU5. 独自のDNA-encoded library“NC-DEL”ヘアピン型DNAタグNovel 2’-O-modified BASEOONHMeMCEribonucleosidessingle stranded-Heteroduplex OligonucleotideUracil-DNA Glycosylasess-HDODNARNALigand58図4 日産化学のオリゴ核酸創薬プラットフォーム図5 切断可能なヘアピン型DEL(NC-DEL)は、新規構造を生み出すことだけではない。疾患原因遺伝子に対し高い活性を示す塩基配列は比較的速やかに選抜できる。また、同種の核酸モノマーの連結により合成されるオリゴ核酸という共通のテンプレートに基づいて創製される医薬候補品の開発は、プロセスケミストリーを含む多くのCMCアクティビティを共有することが可能となり、高効率的な医薬品開発が遂行できると期待されている。 当社独自の核酸創薬プラットフォームを活用する形で、現在は国内外の複数の製薬企業・アカデミア・ス タートアップベンチャー等の研究機関と提携することにより、迅速な核酸医薬品の創薬研究・開発に取り組んでいる。 DNA-encoded library(DEL)は、化合物部位と化合物の構造情報をコードするDNAタグ部位で構成されており、標的分子に特異的に結合した化合物は、対応するDNAタグ部位をポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase Chain Reaction)で増幅し、シーケンサーで解析することで特定できる。現在汎用的に使用されているDELは、DNAタグ部位がヘアピン型構造であり化学的安定性が高く、広いケミカルスペースのライブラリ合成が容易といった長所がある7)。一方、PCR効率が低いこと、セレクション手法が標的タンパク質との結合試験に限定されることから、セレクションの精度と応用性に課題が残っていた。 当社は、この問題を解決すべく、「切断可能な」ヘアピン型DELの構築に取り組んだ。検討の結果、DNAタグ部位にデオキシウリジン(dU)を挿入し、セレクション後にウラシル-DNAグリコシラーゼによりDNAタグ部位を切断可能な新規DELの構築に成功した(図5)。NC-DELと命名したこの技術により、化学的安定性を維持し、かつ一本鎖化可能なDELが実現され、PCR効率を向上させるとともに、光架橋基等の導入により、多岐にわたるセレクション手法への適用が可能となった。 これまでに当社では、約55億のペプチドDELと約2,000万化合物の低分子DELの構築に至っており、さらに拡大中である。リボソーム翻訳系を用いるディスプレイ技術と比較し、DEL技術では、多種のアミノ酸を導入可能であるが、当社のペプチドDELは、100種以上のアミノ酸から構成されており、多様性のある6~8mer程度のコンパクトな特殊環状ペプチドライブラリとなっている。そのため、タンパク-タンパク相互作用阻害化合物や核酸医薬等のターゲティングリガンドの探索にも適していると考えられる。 特に、DNA二本鎖構造が低分子やペプチドと結合しているDEL分子は、当社のss-HDOにターゲティングリガンドが結合している状態の分子との構造類似性が非常に高い。オリゴ核酸のターゲティングリガンドの探索においては、リガンド分子とオリゴ核酸の干渉により、デリバリーリガンドとして機能を果たさないケースが散見されている。この観点からも、NC-DELを活用したターゲティングリガンドの探索は非常に相性が良く、効の構築

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