MEDCHEM NEWS Vol.33 No.1
43/48

S-217622の創製」立花裕樹 他(塩野義製薬)(写真2)43写真1  小児難治性てんかん治療薬soticlestat (TAK-935)の創製(武田薬品工業)(塩野義製薬)写真2  3CLプロテアーゼをターゲットとしたCOVID-19治療薬S-217622の創製  第39回メディシナルケミストリーシンポジウム(MCS2022)が、2022年11月23日(水)から25日(金)までの3日間、オンラインにて開催されました。新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により、MCS2019以来、実に3年ぶりの開催となりました。その間、オンサイト開催も並行して検討しましたが、安全かつ確実に開催するため、初のオンライン開催を決定し、その良さを最大限活かせる企画も盛り込ませていただきました。 製薬企業や大学などからの参加者、そしてスポンサー企業33社にご参加いただき、総勢460名以上もの皆様によって、創薬化学に関する活発な議論が展開されました。ご参加いただきました方々にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。 海外からの招待者2名を含む9名の先生方による招待講演、2名の先生方による医薬化学部会賞受賞講演、3名の先生方によるつながり醸成企画講演、10件の一般口頭発表、138件のポスター発表が執り行われました。招待講演では多岐にわたる創薬関連分野の最先端でご活躍の先生方からホットな研究をご紹介いただくとともに、その研究を薬創りにつなげるヒントを頂戴しました。また、医薬化学部会賞受賞者の先生方からはさまざまな課題を克服して上市品を創出されたサクセスストーリーを通じ、メディシナルケミストリーの醍醐味を伝えていただきました。ご講演いただきましたすべての先生方に感謝申し上げます。 今回、いくつかの新企画を設けさせていただきました。「創薬ニューフロンティア(NF)検討会」のご提案により、アカデミアと企業の研究者間の“つながり醸成”を目的とした活動の一環として、将来ブレークスルーとなり得る技術研究分野を開拓/牽引している先生方にご講演いただきました。この「つながり醸成企画」が将来的な共同研究のきっかけとなることを期待しています。 初の試みである「高校生ポスター」も「創薬NF検討会」のご提案によるもので、「奈良女子大学附属中等教育学校」の皆様にポスター発表いただき大変好評でした。「創薬研究の裾野を広げる取り組み」を模索し、一部のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校と連動する形で、高校生が大学の研究室にて研究を行い、その研究成果を発表いただきました。 最終日には、医薬化学部会賞ならびに医薬化学部会MCS優秀賞、BMC/BMCL賞、新人賞の表彰式が執り行われ、それぞれ以下の研究が受賞されました。「BMC/BMCL賞」は、田中克典先生のご提案によりエルゼビア社のご支援のもと新設いたしました。また一人でも多くの学生がフレッシュなエネルギーをもってMCSに参加するきっかけになればと、「部会員増加検討WG」からのご提案により、学部・大学院修士・博士課程の学生を対象とした「新人賞」を新設しました。◦医薬化学部会賞受賞1. 「小児難治性てんかん治療薬 soticlestat(TAK-935)の創製」 小池竜樹 他(武田薬品工業)(写真1)2. 「3CLプロテアーゼをターゲットとしたCOVID-19治療薬 ◦医薬化学部会MCS優秀賞1. 「抗肥満薬を指向したNAMPT活性化剤の創薬研究」秋生麻由子 他(第一三共、第一三共RDノバーレ、Sanford Burnham Prebys)2. 「四環性骨格を有する選択的TRK阻害剤CH7057288の創製」伊藤俊也 他(中外製薬)3. 「フラグメント創薬による中枢移行性を有する新規経口HDAC2阻害剤の開発」玉井太一 他(大塚製薬、Astex Pharmaceuticals)4. 「標的リガンドにオリゴヌクレオチドを応用したPROTACの創製」永沼美弥子 他(横浜市大院生、国立衛研、安田女子大薬、東大院薬、岡山大院医歯薬)5. 「新規MC1R作動薬MT-7117(dersimelagon phosphoric acid)の創製 ~利便性に優れた経口剤を目指して~」佐藤篤史 他(田辺三菱製薬)中原健二中原健二立花裕樹立花裕樹加藤輝久加藤輝久上原彰太宇納佑斗宇納佑斗上原彰太記事「第39回メディシナルケミストリーシンポジウム」開催報告

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る