MEDCHEM NEWS Vol.33 No.1
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3. 優秀な留学生の発掘40写真1  ACBI 2013 Bangkok学生面接会の様子写真3  ACBI 2014 Kota Kinabaluミニ講義の様子写真2  ACBI 2017 Ulaanbaatar学生面接会の様子写真4  ACBI 2019 Yangonミニ講義の様子ソース不足の地域においてACBIがリーダーシップを取り、ケミカルバイオロジーを振興してきた。今後も、ネパールやトルコ等、さらに多くのアジアの新興国を経由し、ACBIネットワークの拡大と拡充を目指す。 2000年代初頭、アジア先進国でケミカルバイオロジー研究が勃興していた。一方、アジア新興国ではまだケミカルバイオロジーという学際分野自体が存在せず、ケミカルバイオロジー分野で大学院留学を志す学生はいなかった。そこで、アジア先進国の教員が自らアジアの新興国を直接訪問して、優秀な学生にケミカルバイオロジーの魅力を伝え、日本やアジア先進国に留学を促す戦略を立てた。アジア先進国の研究室で留学生を次世代ケミカルバイオロジストとして育成し、本国に送り返す。これが新興国でのケミカルバイオロジーの持続的拡大につながる。この構想は2011年のACBIを立ち上げ当初からの重要なミッションであった。 アジア新興国で開催されるACBI年会の後半には、ACBIメンバーである教授陣がアジア新興国の優秀な学生にケミカルバイオロジーの基礎について講義を行い、一人ひとりと直接面接する。半日をかけて学生とACBI教授メンバーのマッチングを行い、お互いの興味が一致すれば、国費留学生等として留学を実現させてきた。 この手法の成果は明確だった。2012年のハノイ年会以降、書類審査を通過したアジア新興国の学生322名と面接を行い、40名以上の学生にACBIメンバー研究室での短期・長期留学の機会を与えることに成功した。ACBIメンバー研究室に留学した学生の中には、留学先で修士・博士課程を修了し、教員として母国に帰国した者もいる。彼らは今後数十年にわたり母国でケミカルバイオロジー研究を展開し、より広いアジア地域でACBIを持続させる次世代リーダーとなるであろう(写真5~7)。 ACBIはアジア内外で高く評価されている。日本学術振興会アジア研究教育拠点事業(2011-2015年度)採

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