〔SUMMARY〕1.Asian Chemical Biology Initiative(ACBI)2. アジア新興国で開催される年会MEDCHEM NEWS 33(1)39-41(2023)39Keyword ACBI, chemical biology, international students, recruiting*1 京都大学化学研究所 教授 *2 Asian Chemical Biology Initiative(ACBI)代表者 *3 ACBI事務局 *4 anycolab inc. 代表者 Owner, anycolab inc.*5 MaxCyte, Inc. インサイドセールス 上杉志成Motonari Uesugi*1,2・中島光恵Mitsue Nakashima*3~5 Asian Chemical Biology Initiative(ACBI)は、アジアのケミカルバイオロジー研究者をつなぐネットワークである。2011年4月に本格始動した。ACBIには果たすべく2つのミッションがある。(1)アジア先進国間で研究資源を共有することにより、アジアのケミカルバイオロジー研究を加速する。(2)アジア新興国の優秀な人材にケミカルバイオロジー技術を獲得させ、新興国にケミカルバイオロジーを移植する。この2つのミッションを達成するために、ACBIネットワークには日本、韓国、中国(本土および香港)、シンガポール、インド等から100名以上のケミカルバイオロジストが参加している(https://www.asianchembio.com/03-members)。全員が独立PIレベルの科学者。各メンバーの豊富な専門知識と経験により、ACBIは国際的かつ学際的な共同研究を促進する触媒として機能し、アジアにおけるケミカル Asian Chemical Biology Initiative(ACBI)は、アジア地域全体のケミカルバイオロジー研究と教育の推進に大きな影響を与えてきた。2011年4月以後、日本、韓国、中国、シンガポール、インド等のアジア先進国から100名以上のメンバーが協働 し、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、モンゴル、ミャンマー等のアジア新興国の教員や学生にインパクトを与えた。このReportではACBIが10年以上にわたって歩んできた道のりを紹介する。特に、ACBIの特徴の一つであるアジア新興国からの優秀な留学生誘致方法について紹介する。Asian Chemical Biology Initiative (ACBI) has been influential in promoting chemical biology research and education throughout the Asian region. Since its inception in April 2011, more than 100 members from Japan, Korea, China, Singapore, and India have participated in this bold initiative, impacting the professors and students from emerging Asian countries including Vietnam, Thailand, the Philippines, Malaysia, Indonesia, Mongolia, and Myanmar. This report will walk you through the unprecedented journey the ACBI has taken over 10 years, with a special focus on one of ACBI’s unique strategies: how it has been attracting outstanding international students from emerging Asian countries.バイオロジー研究を加速してきた。一方で、国際的かつ学際的なネットワークを活かし、アジア各国の大学院生や若手研究者に海外留学の機会を提供してきた。 ACBIが他の科学コミュニティと異なる点は何か?その答えは、目標を明確にした戦略的かつ持続可能なアプローチにある。 ACBIの戦略的アプローチの1つは、アジアの新興国で開催される年会。これまで、ベトナム(ハノイ、ホーチミン)、タイ(バンコク)、フィリピン(マニラ)、マ レーシア(コタキナバル)、インドネシア(ジャカルタ)、モンゴル(ウランバートル)、ミャンマー(ヤンゴン)で開催された(写真1~4)。 年会の前半は、メンバーが集中的に研究討論し、研究アイデアを共有する。いわばブートキャンプに入隊し、メンバー間で科学的好奇心を刺激しあう。年会では、アジア新興国の科学者とのネットワークも構築する。現地一流大学を訪問して、現地の大学が直面している問題や課題について共に解決策を模索する。このような対面でのミーティングの利点は、現地の料理を舌で実感するだけではない。アジア新興国での研究資源不足やケミカルバイオロジー教員不足も肌で実感できる。このようなリProfessor, Institute for Chemical Research, Kyoto UniversityChief Organizer, Asian Chemical Biology Initiative(ACBI)Executive Manager, ACBIInside Sales Representative, MaxCyte, Inc.ACBI's Strategic Student Recruiting Efforts from Emerging Asian Countriesアジア新興国から優秀な留学生を
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