36図2 トリプトファン選択的反応とその修飾抗体の応用例(L:リンカー)─抗体薬物複合体(ADC)への応用─10)図3 メチオニン選択的反応とその修飾抗体の応用例(L:リンカー)─Trp選択的反応の概要─ 生長と金井らによる報告6)─ADCC誘起によるがん細胞選択的殺傷への応用─7)─Met選択的反応の概要─ ChangとTosteらによる報告9)Au25ナノクラスター修飾トラスツズマブのクライオ電子顕微鏡の図─クライオ電子顕微鏡プローブへの応用─8)改良法実験によっても示された。このAu25修飾トラスツズマブをクライオ電子顕微鏡によって観察したところ、シグナル強度を増加させる銀増感処理(silver enhancement)を行うことなく、Au25ナノクラスターを直接確認することができた。今後は、短く強固なリンカー構造を採用することで、高分解能クライオ電子顕微鏡を用いた解像度の高い分析への発展が期待できる。4. メチオニン選択的反応 Metはスルフィドを側鎖に有する疎水性アミノ酸残基であり、タンパク質表面への露出度は天然アミノ酸の内で3番目に小さい。そのため、Metを標的とする修飾法も、修飾数や修飾位置への選択性発現における利点を享受できる。 2017年ChangとTosteらは、タンパク質のMet選択的修飾法を報告した9)。本反応は、酸化還元活性をもつスルフィドに対し、オキサジリジン反応剤を作用させる
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